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+ '08年01月29日(TUE) ... しょうこりもなくダブルパロその7 +

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「――わかった。ゴールドソーサーはすぐ隣だ。これから向かう」
『クラウド…あたし……』
「オレの心配はいらない」
ちらりと蒼い眼差しをじっと観賞しているセフィロスに向けて、
「優秀なファティマもいるんだ。問題ないよ」
『そだね――』
次に顔を上げた時、エアリスからは友人を案じる不安さは消え、一国の女王としての威厳があった。
『騎士クラウド。ゴールドソーサーでの探索を命じます』
『騎士の消息不明の原因を突き止めて、出来ることならば騎士を救い出してください』
『ゴールドソーサーへは民間船を使ってください。手配をしておきます』
エアリスの命令だとはバレないほうが良い。
『アルテマはバレットにお願いして、ゴールドソーサーに持ち込めるようにします』
「わかりました」
「騎士クラウド。エアリス女王の命を歓んでお受けいたします」
『くれぐれも――気を付けて』
通信が切れた時、クラウドは戦闘に臨む騎士の顔になっていた。
「セフィロス――」
「ああ…」
「聞こえたな」
「これからすぐゴールドソーサーに向かう」
「わかった」
クラウドはそのままシャワーブースへと向かう。
その背中を見送りながら、セフィロスはすでに切れてしまっているモニターに呟いた。
「心配など必要ないぞ、女王」
「クラウドは、俺が護ってみせる」
その為のファティマなのだから。

エアリスが手配してくれた民間船でゴールドソーサーに入った。
アルテマはバレット自らが工場のシャトルで運び込んでくれた。そのままバレット懇意の工場に置いてもらうことになっている。
ゴールドソーサーに来たのは初めてではない。だが降り立つ前からクラウドは不思議な緊張感を受けている。
確かに騎士は希少な存在だ。セフィロスのような美麗なファティマも、人目を惹くのに充分すぎるが…だが決して初めて目の当たりにするものでもない。
ましてやゴールドソーサーは中立地帯という場所故、お忍びの騎士がファティマを伴い訪れるのなど、珍しくもないのだ。
前にゴールドソーサーに降り立った時は、その通りだった。
ティファを連れているクラウドは、それなりの好奇心を向けられはしたものの、それだけだったのに。
今回向けられている視線とは明らかに違う。
皆が騎士であろうクラウドとそのファティマに、異常な関心を向けつつも視線は合わせようとはしない。
遠巻きにして、顔を背けながら二人を観察しているのだ。
騎士というだけで注目されることは常であるクラウドにとっても、この感じは苛立たしい。ましてや娶られたばかりの新米ファティマであるセフィロスには、不愉快以外の何物でもなかった。
彼はクラウドの背後にいつも以上に貼り付いて、周囲を牽制している。
クラウドに近寄ることは許さない。と剥き出しにしたセフィロスにより、ますます二人は周囲から観察され、存在が浮くのだ。
最初酒場や人の出入りの多い場所で探りをいれてみようと計画していたクラウドだが、早々に諦める。
これだけおかしな注目を浴びているのだ。誰もクラウドに気安い話などしてはくれないだろう。
何より、セフィロスがこれだけ威嚇しているのだ。
――宿を探すか…
その前に、
――バレットにそれとなく聞き込んで貰うか…
バレットならばマイスター仲間がゴールドソーサーにもいる。
マイスターはその仕事柄、騎士に関しての情報が入りやすい。
騎士であるクラウドには喋らなくとも、同じマイスターのバレットならば、口も軽くなるだろうし。
「…セフィロス。今晩の宿を探そう」
愛しのマスターを不躾な視線にこれ以上晒したくないセフィロスは、クラウドの提案をすぐに了承する。

***
明日に続きます。


+ '08年01月28日(MON) ... しょうこりもなくダブルパロその6 +

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続きです。

***
コレルにあるバレットの工場にやってきて、もうすぐ二週間となる。
夜が明けてきた。白くあけていく外の風景を頭に描きながら、セフィロスはすぐ隣に眠る愛しいマスターの背中にそっと耳をあてた。
トクン。トクン。トクン。
規則正しい鼓動を耳だけではなく全身で聞きながら、セフィロスは目を閉じる。
クラウドと共に過ごすようになり、セフィロスにとって世界はやっと意味を成すものとなっていった。
充実しているというのは、こういうのを指すのだろうと。
クラウドと共に過ごす時間は、どんな些細なことも歓びだが、その中でも特にベッドの中でのこの時間が、セフィロスは一番気に入っている。
ファティマの皮膚に負けない美しい肌は、透き通るようだ。病的に白いのではない。生きている肌は滑らかで、幾度ふれても飽きが来ない。
動くたびに皮膚の下から現れてくる筋肉のうねりに、やはり彼が騎士なのだと実感はするが、セフィロスにとってクラウドはすでに愛しい存在だ。
目を覚ますタイムリミットまであと少し。
その間まどろんでいようと睡魔に委ねかけたその時、無粋な電子音が鳴る。
――誰だ。
セフィロスがこの不愉快な電子音に眉を顰めている間に、白い腕が伸びる。
寝間着代わりのシャツの間から伸びる腕は、クラウドのものだ。
さすがに騎士と言うところか。この一瞬に覚醒しきったらしい。
セフィロスの腕と比べても遜色のない筋肉のついた腕は、迷うことなく呼び出しに応える。
『――クラウド。早くからすまねぇ』
バレットの野太い声がする間に、クラウドはベッドから身を起こして、ちゃんと応対出来る体勢をとっていた。
ついさっきまでセフィロスがくっついていた背中は、すでにしゃんと伸びている。
「どうした?なにかあったのか?」
ただし声は、まだ寝起きのままだ。
『エアリスから通信だ。繋ぐぞ』
「わかった」
オフとなっていたモニターが繋がる。
そこには栗色の髪を柔らかく巻いた、いつものエアリスがあった。
セフィロスはこの女が気に入らない。クラウドの側近くにいて、自分よりも付き合いが長いだけでも腹立たしいのに、エアリスはクラウドがセフィロスを娶ったのに反対なのだ。
その上まるで自分のことのように、クラウドを支配しようとしている。
この女にクラウドが仕えているというのも、大いに気に入らない。
今もそうだ。起きる前の幸せなまどろみを、まんまと奪い去っているではないか。
セフィロスも仕方なく起きあがると、モニターの可視範囲から外れた場所から、マスターの横顔を観賞した。
――クラウドは、きれいだな。
寝起きだからいつもより更に奔放な金髪も良ければ、目尻まできれいに生えそろった金の睫毛の長さも丁度良い。
髭など見あたらない滑らかな頬のラインも、鼻梁の角度も丁度良い。
身体のサイズも丁度頃合いだ。これ以上小さければ長身のセフィロスにとって物足りないだろうし、かと言って自分と代わらないほどゴツイ身体も遠慮したい。
腕の中にしっくりと収まる。思いの丈を込めて抱きしめても、壊れない強さ。
セフィロスという明らかに規格外のファティマを娶ってくれる、強靱でしなかやな精神と。いつまで経っても物慣れない不器用さと。
そのどれもがきれいだ。
いつもならばじっくりと観賞できない姿を、セフィロスは堪能する。

一方、モニターが繋がったエアリスは、クラウドの姿を認めると緊張で強張らせた頬を少し緩めた。
『ゴメン。こんな朝早く』
「いいよ。それよりどうしたんだ?」
エアリスの背後にはザックスの姿があった。モニターには映っていないが、ザックスはエアリスの背後かなり近い位置にいる。
エアリスを気遣ってのことだと、すぐにわかった。
『ゴールドソーサーで騎士の一人が消息を絶ったの』
ゴールドソーサー。星団の中にある中立地帯のひとつだ。クラウド達が滞在しているコレルにほど近い。
中立地帯故に様々な国籍の人間が出入りし、活発な交流が盛んに行われている。
何よりゴールドソーサーの売りは、娯楽だ。
大きなテーマパークが建ち並び、大人から子供まで楽しめる娯楽を提供している。
エアリス配下の騎士がゴールドソーサーで消息を絶つ。
確かに騎士が主との連絡を絶つのは珍しいが、エアリスが早朝からクラウドをたたき起こすまでのことでもあるまい。
つまりもっと深い核心があるということ。
そうと察したクラウドは、余計な口を挟まずに、エアリスが話し出すのを待つ。
『クラウド。知らないかな』
『半年くらい前から、ゴールドソーサーエリアで、いろんな国の騎士が消息不明になっているのヨ』
「騎士が!?」
まさか――といぶかしむクラウドに、
『ホントなの!』
エアリスの説明によると、仕事プライベート関わらずに、ゴールドソーサーに入った騎士の数名が、原因不明で消息を絶っているのだという。
戦闘でも、もちろんない。生死すら定かではなく、かといって中立地帯故にこちらから公に捜索することも出来ない。
そこで神羅以外のそれぞれの星団のトップが秘密裏に話し合い、互いに行方不明者をだしていることを確認。合同で秘密裏に捜査をしようということになったのだが。
『捜査に向かわせた騎士とも、連絡とれなくなって』
ついにはエアリス配下の騎士も連絡を絶ったのだと。
ここまで話を聞いて、クラウドはわかった。
エアリスが自分に何をさせたいのか。彼女はクラウドの身を案じて、言い出しにくそうだが。

***
コメントや拍手♪ありがとうございます。
返信可能なコメントは、後でまとめてお返しさせていただきます。


+ '08年01月26日(SAT) その02 ... 更新しました +

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再生への光三話更新です。
週末のお供に楽しんでいただけたらと思います。
そしてお詫びですが、目次が再生の光になっていました。
またやってしまったうっかりです。
B子さんごめんなさい。
修正しておきました。

そしてFSS〜〜〜。
ノリノリのB子さん。
続き、続きっと楽しみに追っかけています。
こねたの域は出ている気がします。
ここだと読みにくいので、
いずれちゃんと校正していただいた後サイトに収納したいって思います。
本でもいいかなぁ。


拍手
沢山のぱちありがとうございます。
待ってる方がいると思うと更新作業も楽しいものに変わるので不思議です。
お返事の方はB子さんから改めてはいると思います。


●本気でラクガキですが・・・。まったく衣装の感じを忘れてました。マンガ貸してください(超私信)


+ '08年01月26日(SAT) ... しょうこりもなくダブルパロその5 +

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念のため改めて注意書き。
*五つの星の物語のダブルパロです。
*設定いい加減にやりやすいように弄くっている部分もあります。
*ダブルパロというのを頭に置いて、お読みください。
*ダメな人は読まないでください。

***
あの時の出来事をバレットは忘れない。
クラウドが操られたようにアルテマへと近づく。
「…アルテマウェポン――」
小さく呟かれた声に、動力も入っていないアルテマが応じる。
ブイィィィィィ。
作動音が地鳴りのようだった。
そして、アルテマの目が開く。いや正確に言うと、動力が入った為、目の部分のカメラが作動を始めたのだが、どう見てもアルテマが自分の意志で目を開いたかのように見えたのだ。
目を開けただけではない。
クラウドがアルテマへと手を伸ばすと、アルテマもそれに応える。
固定してあった拘束具のボルトを飛ばしながら、アルテマの左手が動いたのだ。
クラウドへ向かって。

アルテマはクラウドを選んだ。
クラウドもアルテマを選んだ。
だが残念ながら、アルテマはティファは選ばなかった。
ファティマシェルにティファは乗せたが、支配はさせなかった。
クラウドのファティマだから、ティファの存在を許しはしたが。

それがどうだ。アルテマはセフィロスを選んでいる。
ティファの性能ではアルテマの真の力を引き出すことが出来ないままだったが、セフィロスは違う。
彼はクラウドのサポートを完璧にこなし、アルテマをねじ伏せ、その力を的確に存分に発揮させているのだ。
試乗や簡単な模擬戦でさえそう思わせるのだ。
これが実戦となるとどうなるのか――バレットは戦慄する。
すでに“金の騎士”という二つ名で呼ばれているクラウドだが、このファティマをパートナーとした今、この先更に強くなるのは間違いない。
ティファとでは辿り着けない境地まで至るだろう。
もしかしたら“剣聖”の域までも。
その上なにより、
――このファティマ、本気でクラウドに惚れてんだな。
始めエアリスから話を聞いた時には、とんでもないファティマだと思った。
禍々しい存在だと。絶対にクラウドの側に置いて良い筈はないと。
今はいないティファの為にも、セフィロスなどクラウドの側から引き剥がしてやろうとさえ考えていたのだ。
――まったく、呆れるぜ。
そんな事を考えていた自分にも呆れるが…

バレットは試乗を終えて戻ってきたアルテマを見上げる。
まずファティマシェルからセフィロスが飛びだしてきた。正しく“飛びだしてきた”という形容がピッタリくるくらい素早い行動だが、セフィロスがやると優雅に見えるから不思議だ。
セフィロスは飛びだして、クラウドが出てくるのを待つ。
その様子は恋する姫君に忠誠を誓う騎士そのものだ。騎士はクラウドだと言うのに。
コクピットから出てきたクラウドにセフィロスは当然のように手を差し出す。
クラウドは苦笑しながらも、セフィロスに付き合ってやった。
セフィロスはクラウドの手をそっと握ると、エスコートをする。
二人の身体は腕一本のところで寄り添う。
――あ〜あ。ファティマのくせに、嬉しそうなツラしやがるぜ。
大きく表情を作っているのではないが、傍目から見ても充分にセフィロスの歓びは伝わってくる。
このファティマは、本気でクラウドに惚れているのだ。
バレットは全身全霊という古い言葉を思い出す。
人工生命体、ファティマセフィロスは、己の全身全霊を傾けてクラウドだけを追いかけている。
クラウドもそのことを理解しているようだ。
不器用ではあるものの、クラウドは彼なりの方法でセフィロスを受け入れようとしている。
こんな二人の様子は、なぜかしら微笑ましい。
ぎこちなくて不器用で、顔を見て手を取るだけであんなに歓んでいるのだ。
淡い初恋のようで、見ているこっちが呆れてしまう。
バレットは別々に用意していた部屋を、二人一緒にするのを決めた。

***
次回から話が動き出します。
でも明日はお休みになります(予定)。
次に貼るのはたぶん月曜日かと。

返信不要分も含めまして、コメントありがとうございます。


+ '08年01月25日(FRI) ... しょうこりもなくダブルパロその5 +

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いざ改造を始め、試乗ともなると、バレットはセフィロスを認めるしかなかった。
なによりマイスターとして、セフィロスの素晴らしさを見せつけられるのだ。
いくら気に入らないからと言え、これだけの性能を持つファティマは他にはいないだろう。
マイスターとしては素直に認めるしかない。

数千年前と推定される地層から偶然発見されたマルテマウェポンは、全く未知のMHだった。
土と泥を落としきれいにした状態でバレットの元に持ち込まれてきたのが、アルテマとの出会いとなる。
一目見て、これは現在の科学力では有り得ないMHだと気づく。
バレットはマイスターとして携わるMHには、どれも敬意を払ってきた。
MHとは不思議な機械だ。装甲を肉とし、オイルを血とし、最先端のメモリーを脳として、彼らは生きているのだ。
生きて、何より自分の意志というものがある、と。
バレットの考えを裏付けるかのように、数多くの騎士やファティマ、マイト、マイスター達も、同じようにMHの意志に遭遇してきたのだ。
だが特にアルテマの意志は強固であった。整備はかろうじてさせてはくれるものの、誰にも操縦させようとはしない。
完璧な整備がしてあるというのに、誰かがコクピットやファティマシェルに整備目的以外で乗り込もうとすると、彼は動かなくなるのだ。
この変わったMHの噂は、すぐに広まる。バレットの元に多くの騎士がやってきた。
麗しいファティマを従えた著名な騎士も、幾人もいた。
だがアルテマは全く動かず、反応さえしない。
これはただの骨董品なのだと、アルテマの存在が忘れ去られようとした頃に、クラウドがやってきたのだ。

当時のクラウドはまだ騎士になったばかりの子供でしかなかった。
娶ったばかりのティファと揃って現れたクラウドは、バレットの目からみれば、頼りないとしか思えなかったものだ。
(どっちがファティマなんだよ)
まだ未発達のほっそりとした肢体。濁りのない見事な金髪。深く澄んだ蒼い瞳と。
身長もまだなく、ティファよりもかろうじて高いくらいでしかなかった。
腕は良いが偏屈者のマイトダンカンは、バレットの友人である。
そのダンカンが久しぶりに製作したファティマ、それがティファだった。
それ以来ダンカンはファティマを作っていない為、ティファはダンカン最後のファティマである。
カプセルに入る前、まだ幼い頃からティファを知っていたバレットは、彼女をとても可愛がっていたものだ。
本当の人間の娘のように、バレットはダンカンと共にティファに接してきた。
ティファもバレットの親切に応え、彼を慕っていたのだ。
自分が選んだ騎士をバレットに合わせたかったのだろう。クラウドがバレットの元を訪れたのは、ティファが言い出したからだった。
クラウドはまだほんの駆け出しの騎士でしかなく、所有のMHを持ってはいない。
出来立てほやほやの騎士とファティマは、クラウドでも持てるようなMHはないか、とバレットの工場のあちこちを見て回り、そしてアルテマを見つける。

漆黒の巨体。威風堂々とした佇まい。
気圧されてしまうティファと違い、クラウドはアルテマに魅入られる。
そして――アルテマも。

***
返信不要のコメント、ありがとうございます。
事実上はセフィクラですが、クラウドはみんなに関心をもたれております。
一種のアイドル状態かな?


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