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+ '08年04月22日(TUE) その02 ... 更新しました +

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papa2.jpg

五星落涙の8更新しました。
あと1話です。

パパ盛り上がり中なのでちょろっとパパ描いてみました。
途中でメモを読み難い〜〜って方へワンポイントアドバイス。
メモの上部にある
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+ '08年04月22日(TUE) ... 拍手レス&僕のおとうさんについてのくだらないこと +

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こんにちは、びーこです。

21日21時、叫び逃げのRさま>
お読みいただきましてありがとうございます。
熱愛の恋人関係よりも濃厚なのに、
でも互いに恋愛だとは考えていない、義親子関係。
これが僕のおとうさんの目指すところであります。
よろしければまたお付き合いくださいませ。
今回はコメントありがとうございました。

同日21時、○タゴラスイッチなKさま>
コメントありがとうございます。

例題その1:患者さんなセフィロス
「セフィロスさん。診察室にどうぞ」
で、歯医者から親不知の虫歯を指摘される英雄とか面白いと思います。
例題その2:通勤客なセフィロス
慌てるあまりに間違って女性専用車両に飛び込んでしまう英雄とか。
痴漢に間違えられたらきっと大切な息子は嘆くでしょう。

で、ちょっとくだらないことを考えてみました。
元ネタが解らない人はごめんなさい。

やはりお父さんスイッチの出番でしょう。
空き箱と曲がるストローアンテナにして、
クラウドくんがお父さんスイッチを作るのです。

♪お父さんスイッチ 義父も可♪
で始まって、
「お父さんスイッチ、ま」
「魔こう炉に飛び込む」
「お父さんスイッチ、み」
「皆殺しにする」
とかいうのも有りだと思います。
あと、
「お父さんスイッチ、か」
「神になる」
「お父さんスイッチ、り」
「リユニオンする」
というのも面白いかも。

意味もなく始めた僕のおとうさんですが、
すっかりと愛着がわいてきました。
こういう関係も楽しいですね。


+ '08年04月21日(MON) ... 僕のおとうさんその5&拍手レス +

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こんにちはびーこです。
同設定のお話です。クラウドがミッドガルにきてまだ日が浅い頃のこと。

***
その日セフィロスは休日であった。
義理の息子であるクラウドと共にゆっくりと過ごし、午後からは二人でミッドガルの町へと出かける。
ミッドガルのセフィロスの元へとやってきてからまだ日が浅いクラウドは、見る物聞く物全てに少年らしい好奇心を示す。
その可愛らしさにセフィロスはこみ上げてくる充足感を噛みしめていた。
夕方には勤務を終えてザックスがやってきた。ザックスはセフィロスの部下になる。
クラウドにとっては数少ないミッドガルの知人だ。
ザックスがやってきて三人はセフィロスとクラウドの家でそろって夕食をとる。
何から何まで全てクラウドの好物ばかりでしめられた夕食は、とても充実したものとなった。
そこにセフィロス宛の電話が入ってきたのが、この小さな事件の始まりだったのかも知れない。
電話は通常回線ではなく、ホットラインであった。
神羅軍のホットラインだ。これはいかにセフィロスであろうとも無視出来るものではない。
さっきまで緩んでいたセフィロスの雰囲気が一変する。
美麗な面に浮かぶのは、一言で言うならば“面倒な”であろうか。
これは副官であるザックスにとってはなじみの顔であったが、愛情溢れる義父セフィロスしか知らないクラウドにとっては、とても珍しいものである。
しかしセフィロスがどのような表情になっても、ホットラインは一向になりやまず。
セフィロスは長いため息と共にソファから立ち上がった。
このような時でさえ、あくまでも優美なセフィロスの動きを、クラウドはじっと見守る。
澄んだ青い大きな瞳は、心配でいっぱいになり義父に注がれていた。
大切な息子の憂慮を押し流すべく、セフィロスは奔放な金髪をそっと撫でながら、
「すぐに戻る。ザックスに相手をしてもらっていろ」
「――ザックス。頼むぞ」
アイ・サーとばかりにふざけて敬礼するザックスを無視して、ふっくらとした息子の頬に軽く口づけると、リビングからホットラインのある書斎へと渋々向かっていったのだ。

ホットラインでの通話はすぐには終わらなかった。
通話に長く時間がかかったのではない。単に件数が多かっただけだ。
一件目の通話は短い報告である。これはセフィロスも待っていたものであったため、スムーズにやりとりを終えると、即座に通話を切った。
すると受話器を置いたとたんに次のコールが鳴るではないか。
反射的に受話器をとったセフィロスの耳に届いてきたのは、まだ若々しい声であった。
セフィロスよりも年下でありながら、上司である少年は、神羅の御曹司である。
軍人であるセフィロスにとってはどうでも良い内容の通話に、苛立ちを覚えるが、だからといってここで一方的に切ってしまえば良いというものでもない。
忍耐を引っ張り出して、とりあえず話に耳を傾けているフリをした。
この通話は数十分に及んだ。
セフィロスのあまり豊かではない忍耐の試練はこれだけに終わらない。
御曹司からの通話が終わると、またすぐにコールが鳴ったのだ。
さしものセフィロスもこれには参った。思わず鳴り続けるホットラインに目を剥くが、いくら厳しく睨み付けたからといってコールが鳴り終わるはずもない。さっきリビングでついたのよりも長い長いため息を吐いてから、乱暴に受話器を取る。
三件目の相手は最悪なことにハイデッカーであった。直属の上司に当たるこの男は、現時点においてもっともセフィロスの不機嫌の元だ。
セフィロスの忍耐はすでに十分に切れかけている。ついに彼は忍耐が悲鳴を上げたと判断したその時点で、容赦なく通話を切った。
切った後しばらくの間ホットラインを睨んでしまったが、幸いにも今夜はこれで終わったようだ。
結局書斎に入ってから一時間近く経ってしまっている。
――クラウドとの休日を邪魔しおって。
長い銀髪をうるさげに掻き上げた時、書斎を誰かがノックする。
開いてみるとザックスだ。
「あっと…電話終わった?」
「ああ」
「えっと…俺、そろそろ帰るわ」
「そうか…」
じゃ、と言い捨ててすごすご帰っていくザックスの様子はおかしい。
いつもならば帰れと言っても帰らない図々しさを平気で振りかざしているのに。
――なにかあったのか!?
脳裏をよぎるのは、大切な息子のことばかり。
セフィロスは早足でリビングにとって返した。

クラウドは――いた。
定位置であるソファに座っている。
「――クラウド。待たせたな」
背後から静かに声をかけてみると、小さな肩がピクンと揺れる。
明らかに反応がおかしい。
セフィロスは注意深くクラウドの側によると、そっと小さな顔を確かめた。
クラウドはどこもかしこも小さく出来ている。顔も頭も首も肩も、手足でさえそうだ。
まだ幼いからというのもあるだろうが、同じ年頃の子供と比べてみても、全体的に華奢に出来ている。
ただ小さいだけではない。末端に至るまで精巧に造られた人形のように淡い。
もっともクラウドも男なのだから、青年期になれば自ずと逞しく成長するのだろう。
だが現時点ではひときわ逞しいセフィロスの腕にあって、その華奢な淡さは余計に目立ってしまう。
「どうした?」
優しく手を伸ばして頬を包む。
セフィロスの片手だけでクラウドの頭のほとんどは隠れてしまうのだ。
問いに少年は頼りなく首を横に振った。だがセフィロスの目はごまかされない。
少年の眼差しにははっきりとした怯えがあったのだ。
――ザックス…アイツ何かやったな。
本来クラウドは不器用な性格だ。自分の感情を素直に表に露わにはしない。
歓びも悲しみも苦しみも、全て己の内に秘めて押さえ込んでしまうのだ。そう――恐怖や怯えでさえも。
このようにはっきりと怯えを露わにするのは、とても珍しい。
ザックスが何か怯えさせるようなことをしたに違いない。
だからこそこそと逃げ帰ったのか。と、副官に内心で罵倒しつつ、セフィロスは更に優しく息子に接する。
「クラウド――何があったのか話してくれないか?」
青い眼差しがセフィロスへと向けられて、ややあって、躊躇いながら、
「笑わない?」
聞き逃してしまいそうな小さな声だ。
「笑わない」
「ホントに?」
「俺がお前に嘘をついたことがあったか?」
少しだけ首を傾げてから、クラウドは首を横に振った。
「クラウド。俺は笑わない」
だから、
「話してくれ。ザックスと何があったんだ」
大好きな義父の一言で、クラウドの重い口がやっと動いた。

「――ザックスは悪くないんだ…」
「僕が勝手に怖がっただけで」
ザックスはクラウドにいわゆる都市伝説なるものを語ったのだと。
「手首の話だったんだ…」
クラウドは無意識のうちに身体をセフィロスにすり寄せていく。もちろんセフィロスは小さな少年の身体をしっかりと抱きしめてやった。
クラウドの語る話はとりとめがなく、順序もバラバラで内容も前後をしているために、話の本筋を掴むのは簡単ではなかったが、セフィロスは口を挟まずに最後まで耳を傾けた。
要するに、真夜中ミッドガルのある場所で手首が出現するのだという。
その手首は白い女のものであって、空中に浮いているのだと。
手首の持ち主はすでに死人。襲われて無惨に殺されてしまった女なのだと。
女はこの世を怨み手首となって現れてくるのだ。どうして手首なのかと言うと、女の死体には手首がなかったからだそうだ。
女の死体は火葬されてしまったため、唯一この世に残っている手首だけが姿を見せる――というなんとも言いようのない設定らしい。
「それで、ね…その手首を見た女の人は、三日後の同じ時間に消えてしまうんだって…」
人為的に浚われたのだとは考えられない不自然な唐突さで、まるで煙のごとく消えてしまうかのようにいなくなってしまうのだ。
そして、翌朝、
「女の人は見つかるんだけど…――その時には、」
手首は無惨にも刃物で切られているのだと。
「そのような話、俺はしらんな」
「ザックスがセフィロスは知らないだろうって言ってた」
セフィロスは神羅の支配するミッドガルにおいて、特別な人間である。
一般人ではない。出入りする場所も普通ではない。巷の話など耳にすることもあるまい。
だからセフィロスは知らないだろう、と。
「…ホントなのかなあ」
怯えるクラウドは痛ましい。
だが、すがりついてくる仕草は、素晴らしく愛らしかった。
無自覚なのだろう。いつもは恥ずかしがってしないのに、自らセフィロスの膝に乗り上げて両手でしっかりと抱きついている。
小刻みにふるえているところも、押しつけられた薄い胸から伝わってくる鼓動が激しいのも、食べてしまいたいくらいだ。
ここで、セフィロスにある考えが浮かぶ。
クラウドがここにやってきて共に暮らすようになった当初は幾度かやったが、今ではすっかりと恥ずかしがってやってくれないこと。
もう子供じゃないんだから、と言い訳をつけて、セフィロスが促しても断り続けていること。
だがこれだけ怯えていれば、やってくれるに違いない。
決心すると即実行あるのみ。誰にも与えたことがない優しい仕草で、クラウドの小さな身体に触れつつ、セフィロスはなるべくさり気ない風を装った。
そして、
「そうだな、俺は知らんが、もしかしたらあり得るのかも」
ビクン。セフィロスの腕の中で少年が震えるが一際大きくなる。
「ミッドガルは不可解な事件が多い土地柄だしな」
「だが、気にすることはない」
「女が狙われているのだろう。クラウド、お前は男の子だ。例え手首に会ったとしても怯えることはない」
こう言われて安心出来るのならば、そもそも初めから怯えたりはしない。
セフィロスの計算通り、クラウドは更に強く義父にすがりつく。
内心でほくそ笑みつつ、セフィロスは囁いた。
「まあ物事には万が一ということもあるしな」
「クラウド。今夜は一緒に眠るか?」
ぶんぶんと大きくクラウドの首が縦に振られる。
「風呂にも一緒に入るか?」
「そうだ――クラウドはもう子供ではないのだったな。一人で風呂にも入れるし、一人で眠れるのだったな」
「セフィロス――!」
「お風呂に一緒に入る!一緒に寝る!」
クラウドは泣いているような悲鳴を上げた。

ぶるぶると震える少年を抱き上げて、セフィロスはバスルームへと向かう。
最初はクラウドを怯えさせたザックスに、くだらないことを吹き込んで、と怒りさえ覚えていたが――
――礼を言わねばならんな。
久しぶりにクラウドと共に風呂に入って、その後一緒のベッドで眠るのだ。
甘えるのに不慣れなクラウドは、こんなアクシデントでもなければ素直になってはくれない。
怯えきったクラウドは可哀想だが、たまにはこんな日もあって良いに違いないだろう。
セフィロスはそう自分に言い聞かせる。
もしクラウドの怯えがなくならないのであれば、有給でもとってずっと一緒にいればいい。
バスルームにたどり着き、脱衣のために一端クラウドから離れようとする。
「いやっ」
そのわずかな間でさえも耐えられないようだ。
必死ですがりついてくる大切な息子の様子に、セフィロスの顔は思いっきり緩んでいた。
ああ、今日はなんて素晴らしい休日なのだろう。
***

拍手レスです。
20日17時、○タゴラスイッチな方>
その通りです。私もこの歌を頭に回しながら、いろいろと妄想しています。
セフィロスが通行人になったり、お客さんになったりというのは、
とても見てみたいですね。
今日も貼り付けてみました。
良かったらお楽しみください。
コメントをありがとうございました。

拍手&♪、ありがとうございます。
嬉しいです。


+ '08年04月18日(FRI) ... 僕のおとうさんその4 +

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こんにちは、びーこです。
同タイトル同設定のお話です。
ザックス登場。

***
神羅が建設した最高級マンションは、大都会ミッドガルでもひときわ目を引くモダンな造りとなっている。
だが決して外見だけのものではない。なにせ神羅の英雄殿が住んでいるくらいなのだ。
セキュリティもミッドガル一だろう。
まず見知らぬ人間はこのマンションに出入り出来ない。
管理会社の信用ある警備員と受付事務の人間が、一年中365日ロビーに駐在しているのはもちろんのこと、住人の承認がなければそのロビーにさえ行き着けないのだ。
セキュリティも暗証番号などという生やさしいものではない。あらゆる偽装変装に対応出来るだけのシステムは、実際に神羅軍でも使われているものだった。
ザックスからすればまだるっこしいだけのセキュリティの承認を受けている間、ふと思い出してしまう。
――そういや入隊するんだったよな。
気むずかしい上司、氷の英雄殿の心を溶かしてしまった、可愛い少年のことを。
少年の名前はクラウド。なんでそうなったのかは知らないが、ザックスの上司であるセフィロスの養子である。

ザックスはソルジャーだ。神羅が造り出した超人である。
3rdだったザックスがその功績を認められて1stにあがったのは、ソルジャーになってから半年も経たなかった頃。これはかなり破格の出世であった。
戦闘能力の高さを認められたザックスは、1stにあがってすぐセフィロスの副官となったのだ。
ソルジャーセフィロス。神羅軍の実質の司令官である。
治安維持部門には統括としてハイデッカーという人物がちゃんといるが、あくまでもハイデッカーは飾りでしかないのは、神羅軍の常識であった。
実際に作戦行動を立案して戦闘を動かしているのはソルジャーのトップであるセフィロスなのだ。
これまでも幾度か相まみえたことのあるセフィロスだが、正直ザックスはあまり好きではない。
上司としては認めよう。感情的にならずよけいなプライドだけを振りかざして戦闘に挑まないセフィロスは、ある意味理想の上司であるのだ。
セフィロスの部下となるのは、とても幸運だと思う。少なくともセフィロスの命令さえ聞いていれば、無駄な犬死にはしないのだから。
上司としては認める。が、個人的な関わりとなれば話は別だ。これがザックスの本音。
ゴンガガという田舎で育ったザックスは、戦闘スタイルもプライベートも、あくまでも陽性。自分の思いは出来る限りストレートにぶつけて、そうやって相手も知るのだ。
セフィロスはそうではなかった。どれだけザックスが己をぶつけてみても、理解出来ないどころか、理解をする入り口にも立たせてもらえないまま門前払い。
セフィロスの感情はどこまでいっても冷たく凍り付いていたのだ。
この上司にさすがのザックスも相互理解という理想は無駄なのだと投げだそうとした頃のこと、そのセフィロスが変わったのだ。
初めにおかしいと変化を感じたのは、セフィロスが残業を嫌いだしたことだろうか。
定時に出社して定時に帰宅する。もちろん予測のたたないミッションにもはっきりとは出さないが、嫌がるようになっていったのだ。
いきなりのミッションの命令に、ザックスはこの上司が初めて眉を寄せたのを見た。
それは明らかに不快な表情だった。
それまではどんな無謀なミッションの命令も無表情に受け、そのままの無表情さで感情を出さずに淡々とやり終えてきたのに。
帰宅時間だってそうだ。残業など当たり前。自宅にはほとんど帰らず、仮眠室こそがセフィロスのねぐらだったのに…
――ウソだろ!?
おまけによく観察してみると、予定外に遅くなりそうな時には、必ず連絡をいれているではないか。
とすると、考えられるのはひとつだけ。
――英雄殿に彼女でも出来たのか!?
セフィロスのセックスライフなど考えたこともなかったが。
――彼女んチに通ってんのかな?
ソルジャートップたるセフィロスはあまり軽々しい行動はとれない。
彼女の安全を考えれば、そう簡単にお泊まりなど出来ないだろう。
となれば、
――あの高級マンションに同棲とか。
――でもわざわざ連絡するくらいだ。こりゃ相当惚れてるってコト!?
ザックスが知るセフィロスという男は、他者に振り回されるなど絶対にないのだ。
いくら可愛い彼女におねだりされたとしても、セフィロス自身が納得しなければ、連絡などしないに違いない。
つまり裏返せば、セフィロスが残業の連絡をしなければと思うくらい、その彼女のことを大切に考えているというべきなのだ。
――うわ〜。待ってくれ。
――セフィロスが恋愛してるって!?
信じられないとしか考えられない。
しかしザックスがいくら信じられないとしても、現実にそうなのだとしたら。
――こりゃ確かめないと。
好奇心は大いに刺激されたのだ。


それから数週間後、一見表面上はこれまでと変わりない関係を続けているザックスであったが、セフィロスの行動にはかなり目を光らせていた。
“彼女”とは順調なようで、定時退社が基本となったセフィロスは、帰りに時折お菓子なども買って帰るようになっている。
きっと彼女は甘い物が好きなのだろう。ザックスの経験上からも、女性は総じて甘い物が好きだし。
ザックスのセフィロス彼女説がますます有力になってきた時、ある事件が起こる。
それは一本の電話からだった。

いつもは律儀に定時出社してくるセフィロスが、今日はなかなかこない。なにせザックスよりも遅いのだ。
不審がっているところに電話が入る。セフィロスからの休暇申請の連絡だった。
『体調が悪い。今日は休む』
常よりもさらに機嫌が悪そうな音声ではあったが、ザックスは頭から信じていない。
――セフィロスが体調不良だって!?
そんな訳ない。絶対に、ない。
ソルジャーも強化されたとはいえ体調不良な時も確かにある。だが、セフィロスだけは別だと、ザックスはこれまでの経験上知っていたのだ。
勝負はいつも直球ストレート。ど真ん中狙いで。良くても悪くてもこれがザックスという男。
それにザックスは少々焦れていたのだ。セフィロスの秘密の“彼女”の正体を知りたくて、焦っていたのだ。
いつものミッションと同じく、ズバっと一閃切り込んでみる。
「体調不良って、あんたが調子悪いんじゃないだろ」
『――』
回線の向こうから伝わってくる気配に全神経を傾けて。
「俺、なんとなく解ってるんだ」
「セフィロス、今誰かと一緒に暮らしてるんだろ」
この瞬間、ザックスがストレートに切り込むまで、セフィロスとザックスの関係は、あくまでも仕事上のものであった。
割り切った関係であり、そこにはわずかな情もなかったのだ。
セフィロスがザックスという副官をどのように評価していたのかは、勤務評定で知っている。
だがザックスというひとつの個のパーソナリティをどう考えていたのかについては、まったくの未知数だったのだ。
だからこれはひとつの賭。
ザックスはこのときを逃さないとばかりに、さらに深く切り込んでいく。
「その誰かさんの調子が悪いんだろ」
「病気かい?医者呼んだか?」
「薬いるのか?」
一気にまくしたてた後、ザックスは相手の出方を窺う。
馬鹿な、と否定されればそれでおしまい。だが万が一うち明けてくれれば――
『――そうか…気がついていたのか』
ザックスは賭に勝った。
自嘲なのだろうか。笑いを含んだ物言いは、ザックスにとって耳新しいもの。
これまで副官という立場では聞けなかったものだ。
『お前、病気に詳しいのか?』
「――いや、詳しいってほどじゃないけど…医者は呼んだのか?」
『医者は呼びたくはないそうだ』
まあ、いい。
『とにかく、俺は今日は休む。自宅にいる。何かあったら連絡してこい』
「わかった。上手くやっておいてやるよ」
だから、
「市販の薬の差し入れなんてどうだい?」
仕事の後セフィロスに家に訪ねていく許可を求めたザックスに、セフィロスはどう思ったのだろうか。
通常のセフィロスならば、例え部下だろうが副官だろうが、絶対に誰の手も借りなかったに違いないが、返ってきたセフィロスの答えはあっさりとしていた。
『薬のほかに病人でも口に出来そうなものをもってこい』
「了解!」
こうしてザックスは堂々とセフィロスの“彼女”と出会える許可を得たのだ。

仕事の後、ザックスは素晴らしいスピードでセフィロスの自宅へと向かった。
セフィロス本人の招きを受けて、初めて部屋へと入ってそこで目にしたのは、“彼女”ではなくて――
大きなベッド。ダブルはあるだろう。
その真ん中に眠っているのは…
(あの時のクラウド、可哀想だったけど可愛かったよなあ)
発熱によって頬の色は鮮やかな朱。時折苦しげに明ける目の色は青。
その青は潤んでおり、本来の色よりもなんとも頼りなげだ。
金髪の長い睫毛がふるえる。短く途切れる呼吸。汚れを知らない天使が苦しんでいた。
見るからに可哀想な光景であったベッドの住人はまだ子供で、しかも少年だったのだ。
いやそれだけでも相当の驚きだが、それよりも一番衝撃的だったのは、なによりセフィロスがとても心配そうに少年の世話をやいていたことだろう。
「サー…この子は?」
呆然とベッドを指すザックスの手をうるさげに弾いて、
「クラウドだ。俺の義理の息子だ」
――義理の息子…息子!?
「養子をとったんですか?」
まさか、子供好きでもないだろうに。
「昔にとらされたんだ」
そう言いながらもザックスから差し入れを取り上げて中身を確認している。
本当に、この子供以外はどうでも良いらしい。
「一緒に暮らしてるんですか?」
ホントに!?
「ずっと離れて暮らしていたんだが、訳あって同居することになった」
「同居って…サー、子育てしてるんですか!」
思わずザックスの声が大きくなってしまった。
と、熱にうなされている少年がこちらを見る。
その時、信じられないことがザックスの目の前で起こったのだ。
セフィロスは素早くベッドに寄り添うと、少年の頬を撫でる。優しく何度も、だ。
「クラウド。すまん。うるさかったか?」
「…」
応えようと口を開く少年を制して、
「喋らなくていい。それよりも何か食べるか?」
「水分が良いか?」
「水が良いか?それともイオン飲料にするか?」
「果汁を持ってきてやろうか」
何度も何度も少年の頬と額を撫でながら、セフィロスは繰り返す。
ザックスがショック死してしまいそうな甘いとろける声と態度で、だ。
――もう勝手にやってくれ。
セフィロスがマイホームパパになるとは想像も出来なかった。
たぶん、ザックスだけではなく、誰も想像出来なかっただろうが。
後からクラウドの病気は流行性耳下腺炎、つまりおたふく風邪だときいた。
つまり子供ならば誰しも一度はかかるポピュラーな病気だったのだ。
それでもセフィロスの心配は深いらしい。
ザックスの目の前でも構わずに、クラウドの枕元から離れない。
しきりと世話をやき、少年の体調の悪さを我がこと以上に憂う。
恐ろしいことに、こまめに尽くす英雄が、今ザックスの目の前に存在しているのだ。
――なまじ彼女が出来たのよりもベタ惚れじゃねえか。
恋愛なんて、珍しいもんじゃない。そんなに大した意味がなくとも「好きだ」って言うことはとても簡単だ。
なにもそれはザックスだけに限ったことではない。
ミッドガルという場所は、恋愛でも純情でもなんでも手軽に出来ているのだ。
でもこの義理の親子だけは違う。
――ホントに、もう勝手に、好きなだけ可愛がってくれ。

セフィロスの変化の原因であるクラウドの会い、ザックスの好奇心は満たされたかに思えたが、実際はそうではなかった。
そのうちにクラウド自身に関心を抱いたザックスは、この血の繋がりのない親子に積極的に関わっていく。
クラウドから神羅軍に入隊したいとの相談を最初に受けたのもザックスだった。
そして今、少年は自分自身の足で新たな世界に踏み出そうとしている。
神羅軍という場所がどれだけ困難で辛いのか、ザックスはむろん承知している。クラウドにも懇々と言って聞かせもした。
それでもいつか英雄と呼ばれる義父の隣にたつべく、クラウドは進むのだ。
この強い意志の原動力が、義父その人であるのだと、ザックスは知っている。
――まあガンバレよ。
出来るだけの手助けはしてやろうと。
でもその前に、
――お祝いしてやんないとな。
どんなのにしようか、と楽しく悩みながら、ザックスはセフィロスの部屋直通のインターフォンを鳴らした。
***

17日22時、いろいろと楽しみにしてくれている方>
五つ星もSWも裏側も、どれもこれも続きが書きたいです。
で、本日は僕のおとうさんを貼り付けてみました。
お楽しみいただければ嬉しいです。
今回はコメントをありがとうございました。


+ '08年04月16日(WED) ... 僕のおとうさんその3 +

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こんにちは、びーこです。
同設定のお話です。
エアリス登場。

***
送ってくれた車から転がるように駆けだしたクラウドは、まっすぐに教会へと向かっていく。
教会と言ってもすでに朽ちかけているものだ。
昔はいざ知らず、今はもう誰もここで祈りを捧げることはない。
だがそれでもやはりそこは教会だった。少なくともクラウドにとっては、特別な場所。
車の音を聞きつけたのだろう。教会の古く寂れたドアが内側から開く。
そこから現れた少女もクラウドを見て走り出していた。
少女の栗色の髪と、クラウドの金髪が寄り添う。
「エアリス!」
嬉しそうなクラウドの声を聞いてから、そっと車を出した。

およそ二ヶ月ぶりとなる義弟にエアリスは満面の笑みで出迎えた。
「エアリス!」
両手を大きく開くと、クラウドも両腕を広げてエアリスを抱きしめてくれる。
――ホント、大きくなったネ。
「クラウド。ひさしぶり」
「うん。本当に久しぶりだ」
二ヶ月ぶりのクラウドの背はまた伸びている。
ほんの数年前までは、エアリスの方がずっと背が高かったのに、すっかりと抜かされてしまった。
こうして抱きしめてみるとその成長ぶりは顕著だ。
一つ年下の義弟は、淡雪の化身のように、儚い骨格をしていた。
女の子であるエアリスよりもずっと華奢で壊れ物のような繊細な子供だったのだ。
男の子よりも女の子の方が成長が早いと言うが、クラウドの成長は標準の男の子よりもゆっくりだったらしい。
引き離された10歳を過ぎてから、クラウドは緩やかに成長していく。
もう男の子ではない。少年だ。しかも少年という殻を鮮やかに脱ぎ捨てて、青年へと羽化しようとしている。
女であるエアリスには、その成長過程は眩しいほどだ。
だからもっと頻繁にクラウドと会い、その成長を眺めていきたいというのに、同じミッドガルに暮らしながらも、なかなか会えないのは神羅軍に入隊が決まったクラウドが忙しいだけではないのなんてエアリスにはお見通し。
――心狭いよネ。
クラウドに気取られないように、静かに離れていく車に向かって、エアリスは心中舌を出す。
――もう立派な“お義父さん”なんだから、ちょっとぐらいクラウドを貸してくれてもいいのにネ。
毎日毎日一緒に暮らしているというのに、ちょっとの時間さえ離したくないなんて。
――でもセフィロス、子供好きなんて、意外すぎだヨ。
――違う。
子供好きなじゃない。
――クラウド、だから好きなんだよネ。
現にエアリスもまだセフィロスの義理の娘なのだが、彼はこの娘には放置のままだ。
無関心などころか、この頃はクラウドを挟んだ邪魔者扱い。
今一番エアリスの存在を嫌うのは、セフィロスだろう。
こうやって久しぶりに出会った姉弟の抱擁でさえ、実は蹴散らしてやりたいのに決まっている。
それでも、
――わたし、ずっとクラウドのお姉さんなんだから。
これだけは譲れない。エアリスとクラウドを繋ぐ大切な絆。
絆がある以上、弟を好きなだけ抱きしめる特権は許されるべきだろう。
自分より少し背が高くなった義弟を抱きしめるのは、本当に心地よい。
以前のような儚さではなく、青年への成長途上の最中にあるクラウドの骨格は、しなやかで伸びやかだ。
弱々しくはない。むしろ無限の可能性目指して一途に向かっている様は、強いと例えるべきなのだろう。
それでいてごつごつと硬くないから、こうやって抱き合っていても心地よいだけ。
ぎゅっと両腕に力をいれてみる。返ってくるのは薄いがしっかりとついてきている筋肉の弾力だ。
「――エアリス?どうしたの?」
ずっと抱きしめたまま離さないで、しかも力をどんどん込めてくる姉に、クラウドは不思議そう。
そんなクラウドの素直な反応に安堵する。
クラウドは変わらない。
二人きりで暮らしていたあの幼い頃から、ちっとも変わっていない。
――セフィロスの悪い影響、受けなくて良かった。
なんて考えて、クスクス忍び笑いしながら、エアリスはやっと手を放す。
ちょっとだけ高い位置になった義弟を見上げて、
「中に入って。一緒にご飯、食べましょ」
ここはまだ細い手首を引っ張って、エアリスはクラウドを教会へと招き入れた。

戸籍上は違うものの、現在エアリスの母代わりとなってくれているエルミナは不在であった。
だがエルミナが用意しておいてくれた心づくしの料理は、どれもクラウドの好物ばかり。
ほっそりした外見と違い大食漢なクラウドは、用意されている食事に目を輝かせた。
大好きなエアリスに美味しい食事。クラウドの年頃の少年にとっては天国そのものだ。
ひっきりないエアリスのおしゃべりにあわせて食事を楽しんでいると、時間などすぐに過ぎていく。
夕方五時の時報を時計が知らせると、ハッとクラウドの身体が強張った。
「どしたの?」
「――そろそろ帰らないと…」
え!?
「今日はお泊まりじゃなかったの?」
「……ちょっと泊まるのは駄目なんだ」
言いにくそうなクラウドにエアリスは悟る。
「セフィロスだネ」
「違うよ!ほらオレ、もうすぐ入隊だから忙しくって…」
必死で不器用な言い訳を取り繕おうとするクラウドをエアリスは黙殺する。
――イヤな奴。イヤな奴。イヤな奴。
クラウドが手元を離れるからって、エアリスとの時間まで邪魔するなんて。
――入隊って言っても、セフィロスも同じ軍人じゃない!
――寂しがってどうするのヨ!
その気になればクラウドが今何をしているのか、セフィロスの特権ならばすぐに解るだろうに。
寮に入るといえども、週末は休みだという。クラウドのことだ。毎週末はセフィロスの元に戻るのだろう。
これまでだって共に暮らしているといえども、ミッションが入ると一、二週間家に帰ってこないのはザラだったはずだ。
だったらクラウドが入寮しても大差ないだろうに。
――ああ!やっぱり、セフィロス嫌い!
見る見るうちに機嫌が悪くなったエアリスに、クラウドは顔色をなくす。
何度か口を開くが、ただでさえ弁が立たないクラウドは、どう言って良いのかも解らずに、口を閉じて見守るしか出来ない。
「エアリス…――」
それでもどうにかして姉の機嫌をとろうとした時、エアリスの緑の眼差しがクラウドに向けられる。
「クラウド!」
「駄目だヨ」
「…?」
「セフィロスをこれ以上甘やかすのは駄目!」
何を言われたのか解らず、青い目を丸くしたクラウドだったが、しばらくしてから、
「誤解だ。オレ、甘やかしてなんかない」
「セフィロスがオレを甘えさせてくれてるんだ」
「それ、違うヨ!」
逆よ。逆。
「セフィロスが甘えてる!」
「セフィロス、子供じゃないんだから、駄目なことは駄目っていわなきゃいけないんだヨ」
姉の言葉にクラウドは静かに首を横に振った。
「やっぱり違うんだ、エアリス」
「本当にセフィロスがオレを甘えさせてくれてるんだ」
だって、
「オレが何も言えなくても、どう言えば解らない時も…――」
「セフィロスはいつもオレの側にいてくれている」
「オレを一番に考えてくれている」
「今日だって…」
「オレ、迷ってたんだ」
エアリスのは会いたかったけど、その時間分だけセフィロスと共にいられないのは、やはり寂しかった。
でもそれは欲張りなわがままだと解っているから、口には出さなかったのに。
「セフィロスは解ってくれた」
(送り迎えをしてやろう)
(俺のところに帰ってこい)
「そう言われて、すごく嬉しかった…」
「クラウド…――」
「ごめん、エアリス。オレ今日は帰る。また来るから」
「……そうね…――また来てね。待ってるヨ」
――わたしたち、姉弟なんだから。

通りに出るとすでにセフィロスの車が待ちかまえていた。
エアリスと顔を合わせて挨拶をしなくても良いだけの、ちょっと離れた微妙な場所で。
エアリスに別れを告げたクラウドが、車に向かって走っていく。
運転席から長身の男が慌てて出てくるのが見えた。
遠目であるエアリスからも解るくらいに、セフィロスは慌てている。長い銀髪が揺れて、クラウドはぶつかるようにして、セフィロスに抱き留められていた。
そんな二人を見つめながら、エアリスは思う。
――解ってるのかナ、クラウドは。
短いが情熱的な抱擁の後、セフィロスがクラウドを助手席に押し込める。
その行動からも早く二人きりになりたいという意図が丸見えだ。
――クラウド。そういうのって恋なんだヨ。
幼い幼いとばかり思っていた義弟は、どうやら無自覚な恋に落ちているようだ。
しかも相手があのセフィロスだなんて。
――ま、もっとも、セフィロス相手ならばクラウドの片想いにはならないだろうけど。
助手席の窓越しにクラウドが手を振ってくる。
エアリスも小さく振り返してやった。
――だってどう考えても、セフィロスの方がクラウドにヤられてるもんネ。
恋は愛が強い方が負けと言うが。――さてこの二人はどうなるのだろうか。
走り去っていく車に向かって、エアリスはもう一度だけ手を振った。
***
拍手&♪ありがとうございます。
読んでくださってるんだなあとわかり、嬉しいです。


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