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+ '08年07月02日(WED) ... 金銀Bその6 +

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続きです。

※※※
それから改めてティファの話を聞いてみたが、やはり大人達は戦いの準備をしているようだ。
詳しく聞けば聞くほど、そうとしか思えない。
そしてその相手こそ、予想通りの闇の一族であり、しかもどうやら一族のうちでも上位の階級ではないかと考えられた。
闇の一族〜吸血鬼〜といえども様々である。
文字通りに人の生き血やエナジーを吸い取り糧とするのは、闇の一族でもかなり上位の階級であるらしい。
下位に行けば行くほど、人ではなく獣の形をとる。糧も生き血やエナジーだけではなく、むしろ死肉を好むのだ。
クラウドが幼い頃から聞かされてきたのは、下位の一族達だった。
こいつらはいわばモンスターの亜種であるとも言えるだろう。よって戦う方法もモンスターのそれとそう変わりはない。
ニブルヘイムは辺境の地だけあって、レベルの高いモンスターが住んでいる地である。
村人達もモンスターとの戦い方は、よく心得ているのだ。
下位の一族相手に戦うのならば、夜ごとに大人達が集団で集まり、大勢でわざわざ準備をすることもない。
こう考えてみると、大人達が敵として想定しているのは、一族の上位であるとするのが自然だろう。
特にその目で実際に戦いの準備しているところを目撃したティファは、はっきりとこう言い切ったのだ。
「下位じゃないわ」
下等な獣の一族ではないのだと。
「だって下等の一族ならば、村のみんなが持っている装備で充分じゃないの」
「わざわざお師匠様がやってくるのもおかしいし、ましてやマテリアや装備を渡すのなんてヘンだわ」
下位の一族ならばよほど大量に襲いかかられるのでもない限り、村中が力を合わせさえすれば対処出来ないものでもない。
実際一族の下位と戦い、生きて帰ってきた者は幾人もいる。
ティファの父村長ロックハートともその一人だ。高名な武闘家の弟子であるロックハートは、彼の拳で幾たびもの危機を乗り越えてきたと言われている。
クラウドやティファは直接には知らないが、下位の一族と闘ったこともあるそうだ。
「じゃあ上位の一族が村に襲いかかってくるってコト!?」
――闇の一族の上位ってどんなだろうか…
上位に関する情報はほとんどなく、その姿形は記録には残っていないのだ。
誰もはっきりとは目にしたことのない上位の一族たち。闇の一族そのものが遠い遠い存在なのに、その上位ともなれば夢物語か恐ろしげなおとぎ話としか思えない。

首を傾げるクラウドの心中に、ティファも同じであるとばかりに代弁する。
「上位ってどんなのかしら?」
「ティファ、なにか知ってる?」
「知らないに決まっているでしょ」
クラウドは?
「僕も知らないよ…」
「――そうよねぇ……」
ティファは少女らしく可愛らしいため息を吐き、
「もしかしたら世界中の人たちのうちで、一人か二人くらいは会っているのかも知れないけど――」
「ニブルヘイムでは誰も会ったこともないもんね」
ニブルヘイムは本当に田舎なのだ。普段から親しく他の村との交流はない。
それはこの村を取り巻く自然環境のせいもあるだろう。
雪深く寒さに厳しいこの村では、冬がとても長い。
他の土地よりもずっと早くから冬がやってくると、村はすぐに雪で覆われてしまう。
村へと続く街道もすぐに雪で埋もれてしまう。レベルの高いモンスターが出現することもあって、他の土地からは誰も入ってこなくなるのだ。村は正に雪で閉ざされてしまう。
一年の半分ほどの期間、ニブルヘイムこうして雪で閉ざされてしまい、村人だけの狭い世界の中だけで暮らしていくのだ。
こんな狭い村に、他のエリアの情報などほとんど入ってこないのは当然。
ザンカンや稀にやってくる商人、もしくはニブル山で狩猟するハンター達ぐらいが、本格的に雪が積もる前の短い期間にやってきて、他の土地での話しを落としていくだけで。
ましてやクラウドもティファもほんの子供だ。他の土地での出来事など全く知らないに等しい。
二人は想像力を精一杯駆使する。
「上位の一族ってどんな姿なのかしら?」
「下位のとは違うのかなあ…やっぱり」
「じゃあモンスターみたいな姿じゃないってコトなのかしら?」
姿形で上位と下位の区別がつくのだろうか。
しばらく考え込んでいたクラウドが口を開く。
「そうだよなあ。上位と下位の姿が似ていたとしたら…――おかしくないかな?」
「おかしいって?」
「たとえば上位と下位の一族の外見が同じだったら。これまで現れていた一族の中に、もしかしたら人間には区別がつかなくて解らなかっただけで、上位もいたってことも考えられるんだよね」
「でも上位の一族はこれまでやってきたことはない、って…これは絶対とされているんだよね」
外見がそっくり、もしくは同じだということは、見た目だけでは見分けがつかないという意味だ。
ならばこれまでの人間の長い歴史の中で、外見だけでの見分けがつかないまま、下位だと思って上位の一族とも闘っていた。なんてことも有り得た可能性は高い。
でも未だ人の世界に上位の一族が登場したことがないというのは、くつがえされない定説となっているのはなぜか?
クラウドの疑問はここの集約されている。
ティファは長い黒髪を邪魔そうに掻き上げた。
幼い頃からずっとのばし続けてきた黒髪は、ティファの亡くなった母にそっくりだ。
※※※
やおいのやにもかすらなくてすみません。
この話は淡々と続きます。



※イラスト追加しました(Y)


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