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こんにちは、びーこです。 そしてその2です。
以前のと同じ設定。すこし時間軸が進んでいます。 誤字脱字変換ミスはスルーしてください。 相変わらずシリアス風味です。
※※※ 久しぶりにクラウドと二人きりの時間をくつろいでいたのに、携帯にかかってきた一本の電話が、セフィロスにとっての至福を惨く邪魔をした。
セフィロスの義父であるクラウドの元には、よく電話がかかってくる。 それはクラウドがやっている仕事が、なんでも屋という一風変わったものであったのも確かに関係しているのだろう。 だがそれよりも義父の側に人が集まってくるのは、それこそがクラウドの魅力なのだとセフィロスは誰よりもよく知っていた。 クラウドは非常に整った顔立ちをしている。男にしては小柄で細身ではあるが、鍛え抜かれた筋肉を持つ、彼は戦士だ。 年齢ははっきりしたところは知らない。でも身長も体重も、上も横幅も、セフィロスはすでにクラウドよりも逞しい。 セフィロスの成長は異常であったので、一概に身体の大きさだけでは計れないが、それでもクラウドはとても魅力的なのだ。 その魅力は外見だけではない。不器用で口下手だが、他人からの信頼を決して裏切らない律儀で真摯な性格は、一癖も二癖もある者たちでさえひきよせて放さない。 そしてもっとも腹立たしいことに、クラウドの周囲から離れないそういうヤツらは、皆セフィロスを敵視しているのだ。 単純な好悪ではない。明らかな敵視だ。 さすがに誰も面と向かってセフィロスに本音は明かさないが、セフィロスとて愚かではない。 他者が自分をどのように思っているかなど、それなりに接していれば否応なく気づく。 彼らはセフィロスを敵視しており、その上クラウドから彼を引き離そうと目論んでいるのだ。 今回の電話もそんなヤツらからの一人であったらしい。 通話を始める前にクラウドはセフィロスの前からいなくなって、別の部屋へと入ってしまったから。 この会話はセフィロスには聴かせたくない――こんなクラウドの気遣いが伝わってきて、セフィロスはぶつけようのない苛立たしさにさいなまれる。
別の部屋にいったクラウドの声をセフィロスは追う。 セフィロスの異常な聴力は、クラウドの声を途切れ途切れに拾っていた。 クラウドは元から口数が少ない。言いにくいことや相手を否定するようなことは、必要だろうとも発しない傾向にある。 今の電話でもクラウドが喋っているのは「ああ」とか「わかった」「そうだな」くらいのものだ。 いくら感覚の優れたセフィロスでも、これだけでは具体的にどのような会話がなされているのか、推し量ることは出来ない。 と、そこにセフィロスはクラウドが己の名を発したのを聞いた。 感覚を更に研ぎ澄ませ、息を殺す。 「ああ……、確かにそうかも知れないが…、――」 「セフィロスはまだ子供なんだ」 ――子供だと!? 確かにクラウドよりは短くしか生きていないが、決して子供扱いされるような幼い生き物などではない。 自分はただの子供などではない――これは物心ついた頃よりセフィロスにあるくつがえしようのない確信であった。 ――俺は俺だ。 ――クラウドの庇護に甘えているだけの存在などではない! ことあるごとにそう主張しているのにも関わらず、クラウドはセフィロスを子供だと言って譲らない。クラウドらしくない頑なさで。 ――どうすればクラウドに認めさせることが出来るのだ。 屈辱ともどかしさが胸を塞いだその時、何物かがセフィロスに触れる。 ――これは…なんだ? 呼んでいるのだ。声もなく。 セフィロスを呼び寄せている。 セフィロスは迷わずに立ち上がると、呼ばれている何物かへと焦点を当てた。そして追いかけてみる。 細い目に見えない糸をたぐっていくような注意深さで、セフィロスは追った。 ――ここだ… そこはクローゼットだった。小さな部屋くらいの大きさがある物置のようなところだ。 仕事で必要な時もあるのだろうあまり使っていない武器のようなものから、もっと日常の細々したものまでも、あまり危険のないものをクラウドはここに詰め込んでいた。 セフィロスももちろん何度もこのクローゼットに入ったことがある。 でも以前はこんな感じはしなかったのに―― クローゼットを開けて、中へと入ってみる。 と、すぐに解った。 ――あれだ! クローゼットの隅に立てかけてあるモノ――それは初めてみる一振りの刀であった。
黒い漆黒の鞘は息をのむ圧倒的な緊張感で反り返っている。 クラウドが持つような剣とはまるで異質だ。まず細い。そして長い。 この長さでは自在に振るうのはとても難しいだろう。 相当の長身の持ち主で、その上かなり腕も長くなければ、まず鞘から引き抜くことも出来まい。 セフィロスは村雨などのタイプの刀を目にしたこともあったが、この目の前にある刀は形こそ似ているだろうが、村雨とも全く違っている。 どのようなものにもカテゴライズされない、これはそんな特別で異質でこの世に一本しかないものであった。 ――刀が、俺を呼んでいる。 セフィロスは無意識のうちに刀の前までやってきた。 そして手を伸ばしてとろうとしたその時、 「やめろっ!」 背後から思いっきり身体を引かれる。 クラウドだった。 「触るな!」 「…!」 クラウドはそのまま体格にはそぐわない驚異的な膂力で、セフィロスをクローゼットから引きずり出す。 自分よりも大柄なセフィロスの体積などものともせずに、クラウドは片手でセフィロスの動きを封じたまま、もう一方の手でクローゼットを閉めてしまった。 いきなりの手荒い扱いに反抗しようかともよぎったが、かつて見たことのないクラウドの形相にセフィロスの力は抜けていってしまう。 クローゼットを閉めたクラウドは、そのままセフィロスを片手だけで引きずっていき、自分の部屋へと押し込めた。 セフィロスの肩を鷲掴みにして、 「いいか!あれは絶対に触るな」 この言葉でわかった。クラウドはもう二度と、セフィロスの目に届く範囲にあの刀を置かないだろう、と。 ――あの刀に会えなくなってしまう… どうしてだか、根拠もないのに、セフィロスは己自身をも否定されたように感じる。 クラウドへの反抗心がわき上がってきた。 「なぜだ!」 「あの刀はいったいなんなんだっ」 「セフィロス。あの刀のことは忘れろ」 「理由を話してくれ!」 「駄目だ――言うことを聞くんだセフィロス」 ――イヤだイヤだ。 「話してくれ。そうでないと従えない」 ――どうして話してくれないんだ、クラウド… ――俺は訳も分からずにただ従うような子供ではない。 ――話してくれ。説明をしてくれ。 ――クラウド、――お前を理解したいんだ。 初めての、セフィロスの反抗だった。
一方のクラウドも言葉にならないほどに心が乱れていた。 ――まさか、正宗をセフィロスが見つけるなんて… セフィロスはあそこには置いていなかった。絶対にセフィロスの目に触れない場所にあった筈なのに。 妖刀と呼ばれるモノの恐ろしさは、過去セフィロスとの戦いで知り抜いていたと思っていたのに、妖刀はそれ以上にあやかしだったのだ。 同時にさっきまで喋っていたバレットとの会話が蘇る。 (クラウド――セフィロスは危険だ) (確かに今のセフィロスは昔のセフィロスではない) ライフストリームの力を借りたのだろう、エアリスが赤ん坊の形で復活させたのだ。 今や星の一部となってしまったエアリスが何を考えているのかはわからないが、バレットにはこれだけははっきりしていた。 セフィロスはセフィロスなのだ。 どこまでいってもあの男はああいう男なのだ。 今は以前の記憶もなく、養い親であるクラウドに懐いているだけの子供なのかも知れないが、それでも子供は成長するもの。 ましてやセフィロスは異常に成長しているというではないか。 以前の記憶があろうとなかろうと、このままではセフィロスは再び以前のように“神”を自称するようになるだろう。 そうなったとすれば、――また戦わなくてはならなくなってしまう。 最前線に立つのは他ならぬクラウドだ。クラウドでなければセフィロスと対等にはやり合えない。 (クラウド、いいか。セフィロスを手放せ) 殺せとまでは言えないが、とにかく離れるのだ。 ――バレット… 彼の忠告は正しい。バレットだけではなく、共に戦った者は皆そう言ってクラウドを案じてくれる。 以前は敵であったルーファウスでさえも、「クラウドの為にはセフィロスとは離れろ」「セフィロスは任せるがいい」とまで言ってくれるのに、どうしてもクラウドはこの養い子と離れられないのだ。 なぜならば、 ――セフィロス… 共に暮らすようになってクラウドはセフィロスの新たな面をいくつも見た。 以前のセフィロスは、クラウドと出会った時にはすでに完成された英雄であったのに、今のセフィロスは違う。確かに他の子供とはとても比べられないほどに大人ではあるものの、反面とても幼く可愛らしいところがあるのだ。 短い期間では有ったがセフィロスの恋人だったのに、セフィロスにこんな面があるなんて、クラウドは全然知らなかった。 結構寂しがりやだとか、とても不器用なところとか。 時折やはりセフィロス本人だけのことはあって、以前と同じ行動をとったりもする。 そう言うとき、クラウドはまた新しいセフィロスを知るのだ。 以前はわからなかったが、今ならばわかる、その行動の意味を知って。 ――離れたくない。 今度こそは、セフィロスを幸せにしてやりたい。
それなのに――正宗に触れようとするだなんて。 赤ん坊となったセフィロスと共に現れた正宗を、クラウドはどうしても手放せなかったのだ。 それが今になってこんなことになるなんて。 ――どうしてわからないんだ! ――以前のようにはなって欲しくないのに。 ――せめて人並みに生きていって欲しいのに。 それならばクラウドはセフィロスの人生に関わらないよう、皆の言うとおり離れるべきなのだろうが、 ――それは…出来ない。 だって、 ――セフィロス…愛している。 昔と同様に、いや、赤ん坊となったセフィロスを育てているうちに益々、セフィロスへの恋情は強まっていくばかり。 ――離れたくない。 ――放したくない。 昔のセフィロスを愛している。 今のセフィロスも――愛してるんだ。認めてはならないのだろうが。 だから、 ――もう殺しあいなどしたくないんだ。 二度と、セフィロスを殺したくなどない。 もし正宗を再び持てば、セフィロスは昔のように狂ってしまうのかも知れない。 また殺さなくてはならなくなるのかも知れない。 そうなったら――どうなる… こんな荒れ狂う激情を、どうやって言葉にすれば良いのか…
クラウドは自分よりもすっかりと逞しくなった養い子に縋り付く。 「セフィロス…――お願いだから」 頼む。 「オレは、…お前と一緒にいたいんだ。だから…」 初めて知る心弱く乱れるクラウドに、セフィロスは異変を悟るしかない。 身体を折り畳むようにして、義父と眼差しをあわせる。 「どうしたんだ?クラウド」 「俺が、お前を苦しめているのか?」 そうじゃない。そうじゃないんだけど、と力無く首を振るだけのクラウドを、セフィロスは渾身の力で抱きしめた。 「わかった。もうあの刀のことは忘れる」 「何でもクラウドの言うとおりにする」 ――だから、約束してくれ。 「クラウド。頼むから俺から離れないでくれ」 「クラウドが望むならば、俺はずっとクラウドの子供でいいから――」 「俺を捨てないでくれ」 昔のセフィロスならば絶対に言わなかった台詞なのに、そう言って抱きしめてくる腕の強さや胸板の逞しさは、昔とそっくり同じなんて。 ――再び殺し合う運命が待っているのだとしても、俺はセフィロスを愛するしかないのか… ――そして、セフィロスも… なんと自虐的な、甘美なる絶望。 ――エアリス、ザックス、教えてくれ。 ――オレはどうすればいいんだ。 クラウドは目を閉じて、養い子の腕に身をゆだねた。 ※※※
義父さんと養子くん。 本当にこんな親子見てみたいです。
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Y子
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その1のイメージで描いたら続きありました。 嬉しいv なので話に合わないのですが載せてしました。
おとうさんでもとうさんでも好物! どうしたでしょうか? 年齢差萌え?になるの? 教えてB子さん!
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05/15(THU)20:04:07
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