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+ '08年05月15日(THU) ... 俺のとうさんその2 +

jin_08_05_15.jpg (400x400..0.0kb) up

こんにちは、びーこです。
そしてその2です。

以前のと同じ設定。すこし時間軸が進んでいます。
誤字脱字変換ミスはスルーしてください。
相変わらずシリアス風味です。

※※※
久しぶりにクラウドと二人きりの時間をくつろいでいたのに、携帯にかかってきた一本の電話が、セフィロスにとっての至福を惨く邪魔をした。

セフィロスの義父であるクラウドの元には、よく電話がかかってくる。
それはクラウドがやっている仕事が、なんでも屋という一風変わったものであったのも確かに関係しているのだろう。
だがそれよりも義父の側に人が集まってくるのは、それこそがクラウドの魅力なのだとセフィロスは誰よりもよく知っていた。
クラウドは非常に整った顔立ちをしている。男にしては小柄で細身ではあるが、鍛え抜かれた筋肉を持つ、彼は戦士だ。
年齢ははっきりしたところは知らない。でも身長も体重も、上も横幅も、セフィロスはすでにクラウドよりも逞しい。
セフィロスの成長は異常であったので、一概に身体の大きさだけでは計れないが、それでもクラウドはとても魅力的なのだ。
その魅力は外見だけではない。不器用で口下手だが、他人からの信頼を決して裏切らない律儀で真摯な性格は、一癖も二癖もある者たちでさえひきよせて放さない。
そしてもっとも腹立たしいことに、クラウドの周囲から離れないそういうヤツらは、皆セフィロスを敵視しているのだ。
単純な好悪ではない。明らかな敵視だ。
さすがに誰も面と向かってセフィロスに本音は明かさないが、セフィロスとて愚かではない。
他者が自分をどのように思っているかなど、それなりに接していれば否応なく気づく。
彼らはセフィロスを敵視しており、その上クラウドから彼を引き離そうと目論んでいるのだ。
今回の電話もそんなヤツらからの一人であったらしい。
通話を始める前にクラウドはセフィロスの前からいなくなって、別の部屋へと入ってしまったから。
この会話はセフィロスには聴かせたくない――こんなクラウドの気遣いが伝わってきて、セフィロスはぶつけようのない苛立たしさにさいなまれる。

別の部屋にいったクラウドの声をセフィロスは追う。
セフィロスの異常な聴力は、クラウドの声を途切れ途切れに拾っていた。
クラウドは元から口数が少ない。言いにくいことや相手を否定するようなことは、必要だろうとも発しない傾向にある。
今の電話でもクラウドが喋っているのは「ああ」とか「わかった」「そうだな」くらいのものだ。
いくら感覚の優れたセフィロスでも、これだけでは具体的にどのような会話がなされているのか、推し量ることは出来ない。
と、そこにセフィロスはクラウドが己の名を発したのを聞いた。
感覚を更に研ぎ澄ませ、息を殺す。
「ああ……、確かにそうかも知れないが…、――」
「セフィロスはまだ子供なんだ」
――子供だと!?
確かにクラウドよりは短くしか生きていないが、決して子供扱いされるような幼い生き物などではない。
自分はただの子供などではない――これは物心ついた頃よりセフィロスにあるくつがえしようのない確信であった。
――俺は俺だ。
――クラウドの庇護に甘えているだけの存在などではない!
ことあるごとにそう主張しているのにも関わらず、クラウドはセフィロスを子供だと言って譲らない。クラウドらしくない頑なさで。
――どうすればクラウドに認めさせることが出来るのだ。
屈辱ともどかしさが胸を塞いだその時、何物かがセフィロスに触れる。
――これは…なんだ?
呼んでいるのだ。声もなく。
セフィロスを呼び寄せている。
セフィロスは迷わずに立ち上がると、呼ばれている何物かへと焦点を当てた。そして追いかけてみる。
細い目に見えない糸をたぐっていくような注意深さで、セフィロスは追った。
――ここだ…
そこはクローゼットだった。小さな部屋くらいの大きさがある物置のようなところだ。
仕事で必要な時もあるのだろうあまり使っていない武器のようなものから、もっと日常の細々したものまでも、あまり危険のないものをクラウドはここに詰め込んでいた。
セフィロスももちろん何度もこのクローゼットに入ったことがある。
でも以前はこんな感じはしなかったのに――
クローゼットを開けて、中へと入ってみる。
と、すぐに解った。
――あれだ!
クローゼットの隅に立てかけてあるモノ――それは初めてみる一振りの刀であった。

黒い漆黒の鞘は息をのむ圧倒的な緊張感で反り返っている。
クラウドが持つような剣とはまるで異質だ。まず細い。そして長い。
この長さでは自在に振るうのはとても難しいだろう。
相当の長身の持ち主で、その上かなり腕も長くなければ、まず鞘から引き抜くことも出来まい。
セフィロスは村雨などのタイプの刀を目にしたこともあったが、この目の前にある刀は形こそ似ているだろうが、村雨とも全く違っている。
どのようなものにもカテゴライズされない、これはそんな特別で異質でこの世に一本しかないものであった。
――刀が、俺を呼んでいる。
セフィロスは無意識のうちに刀の前までやってきた。
そして手を伸ばしてとろうとしたその時、
「やめろっ!」
背後から思いっきり身体を引かれる。
クラウドだった。
「触るな!」
「…!」
クラウドはそのまま体格にはそぐわない驚異的な膂力で、セフィロスをクローゼットから引きずり出す。
自分よりも大柄なセフィロスの体積などものともせずに、クラウドは片手でセフィロスの動きを封じたまま、もう一方の手でクローゼットを閉めてしまった。
いきなりの手荒い扱いに反抗しようかともよぎったが、かつて見たことのないクラウドの形相にセフィロスの力は抜けていってしまう。
クローゼットを閉めたクラウドは、そのままセフィロスを片手だけで引きずっていき、自分の部屋へと押し込めた。
セフィロスの肩を鷲掴みにして、
「いいか!あれは絶対に触るな」
この言葉でわかった。クラウドはもう二度と、セフィロスの目に届く範囲にあの刀を置かないだろう、と。
――あの刀に会えなくなってしまう…
どうしてだか、根拠もないのに、セフィロスは己自身をも否定されたように感じる。
クラウドへの反抗心がわき上がってきた。
「なぜだ!」
「あの刀はいったいなんなんだっ」
「セフィロス。あの刀のことは忘れろ」
「理由を話してくれ!」
「駄目だ――言うことを聞くんだセフィロス」
――イヤだイヤだ。
「話してくれ。そうでないと従えない」
――どうして話してくれないんだ、クラウド…
――俺は訳も分からずにただ従うような子供ではない。
――話してくれ。説明をしてくれ。
――クラウド、――お前を理解したいんだ。
初めての、セフィロスの反抗だった。

一方のクラウドも言葉にならないほどに心が乱れていた。
――まさか、正宗をセフィロスが見つけるなんて…
セフィロスはあそこには置いていなかった。絶対にセフィロスの目に触れない場所にあった筈なのに。
妖刀と呼ばれるモノの恐ろしさは、過去セフィロスとの戦いで知り抜いていたと思っていたのに、妖刀はそれ以上にあやかしだったのだ。
同時にさっきまで喋っていたバレットとの会話が蘇る。
(クラウド――セフィロスは危険だ)
(確かに今のセフィロスは昔のセフィロスではない)
ライフストリームの力を借りたのだろう、エアリスが赤ん坊の形で復活させたのだ。
今や星の一部となってしまったエアリスが何を考えているのかはわからないが、バレットにはこれだけははっきりしていた。
セフィロスはセフィロスなのだ。
どこまでいってもあの男はああいう男なのだ。
今は以前の記憶もなく、養い親であるクラウドに懐いているだけの子供なのかも知れないが、それでも子供は成長するもの。
ましてやセフィロスは異常に成長しているというではないか。
以前の記憶があろうとなかろうと、このままではセフィロスは再び以前のように“神”を自称するようになるだろう。
そうなったとすれば、――また戦わなくてはならなくなってしまう。
最前線に立つのは他ならぬクラウドだ。クラウドでなければセフィロスと対等にはやり合えない。
(クラウド、いいか。セフィロスを手放せ)
殺せとまでは言えないが、とにかく離れるのだ。
――バレット…
彼の忠告は正しい。バレットだけではなく、共に戦った者は皆そう言ってクラウドを案じてくれる。
以前は敵であったルーファウスでさえも、「クラウドの為にはセフィロスとは離れろ」「セフィロスは任せるがいい」とまで言ってくれるのに、どうしてもクラウドはこの養い子と離れられないのだ。
なぜならば、
――セフィロス…
共に暮らすようになってクラウドはセフィロスの新たな面をいくつも見た。
以前のセフィロスは、クラウドと出会った時にはすでに完成された英雄であったのに、今のセフィロスは違う。確かに他の子供とはとても比べられないほどに大人ではあるものの、反面とても幼く可愛らしいところがあるのだ。
短い期間では有ったがセフィロスの恋人だったのに、セフィロスにこんな面があるなんて、クラウドは全然知らなかった。
結構寂しがりやだとか、とても不器用なところとか。
時折やはりセフィロス本人だけのことはあって、以前と同じ行動をとったりもする。
そう言うとき、クラウドはまた新しいセフィロスを知るのだ。
以前はわからなかったが、今ならばわかる、その行動の意味を知って。
――離れたくない。
今度こそは、セフィロスを幸せにしてやりたい。

それなのに――正宗に触れようとするだなんて。
赤ん坊となったセフィロスと共に現れた正宗を、クラウドはどうしても手放せなかったのだ。
それが今になってこんなことになるなんて。
――どうしてわからないんだ!
――以前のようにはなって欲しくないのに。
――せめて人並みに生きていって欲しいのに。
それならばクラウドはセフィロスの人生に関わらないよう、皆の言うとおり離れるべきなのだろうが、
――それは…出来ない。
だって、
――セフィロス…愛している。
昔と同様に、いや、赤ん坊となったセフィロスを育てているうちに益々、セフィロスへの恋情は強まっていくばかり。
――離れたくない。
――放したくない。
昔のセフィロスを愛している。
今のセフィロスも――愛してるんだ。認めてはならないのだろうが。
だから、
――もう殺しあいなどしたくないんだ。
二度と、セフィロスを殺したくなどない。
もし正宗を再び持てば、セフィロスは昔のように狂ってしまうのかも知れない。
また殺さなくてはならなくなるのかも知れない。
そうなったら――どうなる…
こんな荒れ狂う激情を、どうやって言葉にすれば良いのか…

クラウドは自分よりもすっかりと逞しくなった養い子に縋り付く。
「セフィロス…――お願いだから」
頼む。
「オレは、…お前と一緒にいたいんだ。だから…」
初めて知る心弱く乱れるクラウドに、セフィロスは異変を悟るしかない。
身体を折り畳むようにして、義父と眼差しをあわせる。
「どうしたんだ?クラウド」
「俺が、お前を苦しめているのか?」
そうじゃない。そうじゃないんだけど、と力無く首を振るだけのクラウドを、セフィロスは渾身の力で抱きしめた。
「わかった。もうあの刀のことは忘れる」
「何でもクラウドの言うとおりにする」
――だから、約束してくれ。
「クラウド。頼むから俺から離れないでくれ」
「クラウドが望むならば、俺はずっとクラウドの子供でいいから――」
「俺を捨てないでくれ」
昔のセフィロスならば絶対に言わなかった台詞なのに、そう言って抱きしめてくる腕の強さや胸板の逞しさは、昔とそっくり同じなんて。
――再び殺し合う運命が待っているのだとしても、俺はセフィロスを愛するしかないのか…
――そして、セフィロスも…
なんと自虐的な、甘美なる絶望。
――エアリス、ザックス、教えてくれ。
――オレはどうすればいいんだ。
クラウドは目を閉じて、養い子の腕に身をゆだねた。
※※※

義父さんと養子くん。
本当にこんな親子見てみたいです。

Y子 その1のイメージで描いたら続きありました。
嬉しいv
なので話に合わないのですが載せてしました。

おとうさんでもとうさんでも好物!
どうしたでしょうか?
年齢差萌え?になるの?
教えてB子さん!
05/15(THU)20:04:07  [3-2228]


+ '08年05月14日(WED) ... 俺のとうさん +

data/no.gif (x..kb)

こんにちは、びーこです。

タイトルを読んでもらえばなんとなく解っていただけると思うのですが、
ま、そういう逆転な話です。
僕の〜とは違い、シリアスになってしまいました。
設定としてはACですね。あの話の後くらいですか。
見直していませんので、誤字脱字変換ミスはスルーしてください。

※※※
発熱してから二日目。あと一日もあれば熱は引くだろう。
そして今この高熱以上の苦しさをセフィロスにもたらしている関節痛も、その頃にはかなり収まっているはずだ。
数ヶ月に一度こうやってふいに襲ってくる高熱を伴った関節痛は、普段己の痛みにも他人の痛みにも無頓着なセフィロスを、泣きわめかせる容赦のなさだ。
だがこれは病気ではない。
ただの成長痛なのだと医者は言う。
この医者の言葉を裏付けるように、高熱と痛みが去った後のセフィロスは、身長が10センチ近く一気に伸びているのだ。
確かに子供の成長期というものは、多かれ少なかれ身体の変化に悩まされるものだが、それでも自分の成長が異常なことをセフィロスはすでに理解していた。

――どうして俺は、他人とは違うのだろう。
たとえは身近な例で言うと、デンゼルとマリンだ。
デンゼルは少年。マリンは少女。二人はセフィロスの義父の知人が引き取っている子供達で、その保護者である知人女性と同様に、義父をとても慕っている。
セフィロスは自分の正確な年齢を知らないが、だいたいデンゼルやマリンと変わらないくらいだと考えていた。
女の子であるマリンはともかく、デンゼルはセフィロスト同じ男だ。
成長の度合いも、個人差こそあれども、そうは変わらないだろうに…それがどうだ。セフィロスの知る限りデンゼルは高熱を伴った成長痛に襲われることもなければ、一晩で一気に数センチも身長が伸びることもない。
おかげでセフィロスはデンゼルよりも頭一つほど身長が高くなり、もう少しで義父を追い越してしまうだろう。
――俺は異常だ。
高熱にうなされ関節痛に苦しみながら、セフィロスはいつも声もなく叫ぶ。
――俺は普通ではない。
身長だけではない。
たとえば五感。セフィロスは人の視覚が捕らえられない遠いものも見定め、人が聞こえない音も聴く。
鼻も耳もそうだ。セフィロスは人のゲージを振り切ってしまっている。
そして運動能力も。力もそうだ。走ったり飛んだりもそう。
身体能力と同じく知能もけた外れだったセフィロスは、ずっと自分という存在を疑問視してきたのだ。
義父の存在さえなければ、セフィロスはとうに狂っていたに違いない。

――義父さん…
義父を思い出すと痛みが軽くなったような気がする。
思えば義父の存在こそセフィロスにとっての聖域。
義父はセフィロスの異常である秘密の理由を知っているのだろう。
己の養い子の異常な発達にさえ彼は驚かなかった。
ただ静かに当事者であるセフィロスよりも辛い顔で、彼は養い子を抱きしめてくれる。
(セフィロス…痛いか)
セフィロス。――と義父に名を呼ばれるのはとても誇らしい。
何より義父はセフィロスが知り限り、ただ一人セフィロスに匹敵する異常な身体能力を有しているのだ。
義父がいる限り、自分はただの異常者ではなくなる。
きっと義父と自分は遺伝子的になんらかの繋がりがあるのだろう。
直接の血縁関係にはどうやらないらしいが、きっと同じ細胞を有しているのに違いない。
義父と同じになるのであれば、――この痛みも耐えてみせよう。
――義父さん…義父さん…
今回の痛みが去れば、義父と同じ大きさに成長しているかも知れない。
もしそうなっていたら、義父も自分を一人前に扱ってくれるだろうか。
そう扱ってくれたとしたら、セフィロスにも義父の仕事を手伝わせてくれるかも知れない。
――そうしたら、ずっと一緒にいられる。
実現すればどんなに素晴らしいだろうか。
セフィロスは自分が義父に抱いている想いをすでに受け入れてしまっているのだ。
あの真面目で物堅い義父は、自分の想いを知ればとても驚くだろう。
セフィロスから逃げ出そうとするかも知れないが、セフィロスは彼を逃がしてやる気はない。
――義父さん。俺の義父さん。
今仕事で家を空けている義父が帰ってきたとき、自分はどのくらいまで成長しているだろうか。
もし義父よりも大きくなっていたらこうしよう。
義父を名前で呼ぶのだ。もう二度と「とうさん」なんて呼ばない。
――覚悟していろよ、クラウド。
セフィロスの愛するきれいな戦士。


高熱でいつのまにか意識が途切れていたようだ。
人よりも並はずれた感覚が、家の中に自分以外の他人の匂いをかぎ取って、セフィロスはぼんやりと覚醒する。
他人の気配は二人あった。一人はセフィロスの嫌いな女のものだ。
「…驚いたわ。予定より早く戻ってくるんだもの」
彼女は義父の幼なじみだそうだ。その特権を利用して、彼女はいつも義父の側にくっついていて、昔からセフィロスには迷惑な女だった。
そしてあと一人は、
――クラウドだ…
漏れ聞こえてくる、ごとり、と重い靴の音も、足の運び方も、全て愛する義父のものだった。
義父はどうやら予定よりもかなり早く戻ってきたらしい。
「依頼人の予定が変更になったんだ。ジュノンから引き返してきたんだが…」
――引き返してきて良かった。
クラウドは確かにこう言った。
愛しい人の言葉は、セフィロスの痛みを和らげていく。
「すまなかったな、ティファ。セフィロスの様子を見てくれてたんだろ」
「まあね。と言っても病気じゃないんだから、何にも出来ないんだけどね」
「それでも助かった。セフィロスも一人だと心細いだろうしな」
まさか!と、ティファは皮肉たっぷりに言い切る。
「セフィロスにそんな感情なんてないわよ」
「ティファ、わかってくれ――」
「――セフィロスはまだ子供なんだよ」
「子供なのはクラウドの前だけよ」
本当に不快な女だ。クラウドの前だと言うのに辛辣な上に、おまけに正しい。
「そうだとしても――今のセフィロスはオレの息子なんだ」
「オレはセフィロスを養育する責任がある」
二人の間を過去という重苦しい沈黙が包む。
いつもこうだ。クラウドとティファの間には、セフィロスが存在する限り互いに相容れない溝がある。
そしてこの沈黙に負けるのはいつもティファ。
「――…きっと前みたいにセフィロスはクラウドを連れていっちゃうんだろうね」
今度こそ私の手の届かない。遠い遠いところに。
「……ティファ」
呼び止めるクラウドの声を無視して、ティファの気配はなくなっていった。

次にセフィロスが覚醒した時には、クラウドがいた。
ベッドの側に椅子を置いて、クラウドは静かにセフィロスを見つめている。
「――起きたか?」
「熱は下がったが、痛みはどうだ?」
そう言えば痛みもすっかりとなくなっていた。
感じるのは急激な成長でぎくしゃくした身体のバランスの悪さだけだ。
クラウドに答えようとしても声帯はまだ上手く機能しない。
「…あっ、うぅ」
あえぎ声しかでないセフィロスをクラウドはやんわりと制して、
「水を飲め。もう少し元気になったら何か旨いものでも作ってやる」
グラスに水を注いで差し出してくれた。
グラスを握るクラウドの手。あれほどの大剣を巧みに操るのが信じられないほどに、クラウドは末端まで繊細に出来ている。
グラスを受け取ろうとして、己の手を伸ばして気がつく。
グラスを握るクラウドの手と、伸ばしているセフィロスの手の大きさが逆転している。
つまりセフィロスはクラウドのサイズを越えたのだ。
「…――く、クラ、ウ…ド」
もつれる舌と言うことをきかない声帯を必死で働かせて、セフィロスは愛しい人の名を初めて呼ぶ。
「…?」
いぶかしげなクラウドに構わず、セフィロスはクラウドの手ごとグラスを握った。
「ク、らうド…」
まだ上手くいかない。
「…クラウ、ド――」
三回目の呼びかけで、やっとまともに名を呼ぶことが出来た。
握りしめているクラウドの手は細かに震えている。表情はすっかりとなく、かなり動揺しているのがはっきりと伝わってきた。
そして――名を呼んだセフィロスへの返答はない。
クラウドが今どう感じているのかセフィロスは知らない。
自分とクラウドの間にある“過去”というのが何であるのか、セフィロスはわからない。
でも嬉しかった。
クラウドの名を呼べて、幸せだった。
そうとても――幸せだった。
※※※

拍手ありがとうございます。
すでに拍手数が先月を越えてしまいました。
嬉しいです。

13日13時のRさま>
ブッダなキャラ達にウハウハしてもらって、ありがとうございます。
クラウドモデル阿修羅は、かの有名な興福寺のものです。
ずばり上半身裸の少年像。
あの姿はクラウドならばピッタリだと確信しています。

Y子 B子さんへ私信ですが・・・

このネタ好きです。
埋もれそう。
埋もれそうだぁ〜〜保存してますか?
05/15(THU)07:49:04  [2-1986]

びーこ ばっちり保存していますので、ご安心ください。
05/15(THU)16:21:43  [2-2134]


+ '08年05月12日(MON) ... ブッタという真理更新 +

data/no.gif (x..kb)

ブッタという真理更新1話2話更新しました。
メモ連載にはイラストを入れるというのが、
暗黙のY4ルールなんですが(個人的にはなくてもいいと思ってる)
イラストが上がるのを待つといつアップになるかわからないので、今回はなしで上げました。
B子さんごめんなさい。


+ '08年05月02日(FRI) ... SWシリーズ収納しました +

data/no.gif (x..kb)

SWシリーズ4をサイトへ収納しました。
そして気がつきました。
シリーズ2をダブらせていました。
間違っていたタイトルも修正しました。

僕のおとうさんネタへ「♪」ありがとうございました。



では良い黄金週間をお過ごしくださいっv

びーこ こんにちは、びーこです。
黄金週間いかがでしたでしょうか?

拍手を取り替えたからでしょうか、たくさんの拍手ありがとうございます。
もうちょっと頻繁に変えられるようにがんばります。

下方からすみませんが、拍手レスです。
3日2時、Rさま>
今回もコメントありがとうございます。
憎しみあうからこその強い絆、というのも好きですが、
ゲームがゲームでしたので、仲の良い二人というのにも惹かれます。
やはり好きなキャラには幸せになってもらいたいのが、
偽りならざる本音ですね。

同日同時間、Sさま>
撫で撫では個人的にSWでさせたかったのです。
お父さんとSW、確かにどちらも疑似親子もどきではあります。
溺愛度はどちらも変わりませんが、私的な区別としましては、
義父さんは、いろいろと養子に負けっぱなしで、傍目から見てちょっとマゾっぽくもあり。
SWはあくまでも師匠と弟子なので、その辺りはわきまえている。
といった感じでしょうか。

その他返信不要のコメントもありがとうございます。
大切にさせていただきますね。
05/07(WED)12:23:36  [4-2168]


+ '08年05月01日(THU) ... 僕のおとうさん +

papa3.jpg (400x400..0.0kb) up

5月に入りましたね〜〜。
大型連休にもかかわらずなんのお楽しみもないY子にB子です。

B子さんがパパネタが浮かばないと言っていたので
浮かんだいくつか〜〜〜。

1*おとうさんは看病されたい。
強力なジェノバ細胞とMPを持つおとうさんなので、怪我したり、病気したりとは無縁です。
が、可愛い息子クラウドには看病されてみたい。
(たまたま一緒に鑑賞していたホームドラマでの看病シーンを見て憧れが募ったらしい)
バトル時にわざと敵の攻撃を受けて回復魔法もかけることなくいることを思いつきます。
脳内シュミレーションはバッチリ。
優しく心配気にかけよるクラウド。もしかして食事もあ〜〜んと食べさせてもらえるかもしれない。
桃とかすりリンゴとか、おでこのタオルとか、怪我なのに脳内イメージは熱だったりしつつも超楽しみで帰宅。
しかし・・・しかし・・・。
帰宅していそいそ着替えて怪我を見せようとしたら、
あら不思議、回復魔法は使ってないのに、恐るべしジェノバ細胞。
怪我はすっかり回復していてガッカリ。

2*やっぱり諦められないおとうさん
しつこくしつこく怪我をしてみても治ってしまうので、おとうさんは考えました。
包帯で隠してしまえ〜〜〜。

すると、ななななんとクラウドがお風呂に一緒に入ってくれました。
長いおとうさんの髪の毛を洗ってくれました。

おとうさんはあまりに感激して脳内真っ白。

やっぱり怪我はいいなぁとしみじみしてたところ。
嘘だとバレてしまいしばらく口を聞いてもらえなくなる。


3*おとうさんは保護者席
神羅傭兵学校(名前なんでしたっけ?決まっていたっけ?)
ともかく学校の入隊式。
式典では毎年セフィロスが訓辞を述べるのが伝統です。
プレスも入りますし結構重要なお仕事です。
クラウドも自分の入隊の姿も見せられるし、セフィロスの公式行事を目の当たりに出来るチャンスなので楽しみにしていました。
が、セフィロス今年はプライベートの用事で式典参加を断りました。
セフィロスが来ないということでパニックの周り以上にがっかりしたのはクラウドですが、
でも仕方ないと努めて笑顔でいました。
が、当日セフィロスは保護者席でビデオ片手にうっとしています。
周りは大混乱。
彼曰く
「息子の晴れ姿を記録するのも親の役目」
なんだそうです。

などなどネタ出しをして笑いました。
神羅に小型の超優秀なカメラなんかを開発させるおとうさんとか、
大型プリンターを購入して、等身大クラウドをプリントアウトするおとうさんとか
布印刷で枕を作りそうだとか(等身大抱き枕)それよりシーツがいいんじゃないかとか・・・楽しくネタ出し。

そのうちB子さんがまた続きを書いてくれるんじゃないかって思います。

さてさて、すっかり停滞の本編ですが、しばらくお休みで他のネタを色々先に上げてもらう予定です。
メモで書き殴り連載してからゆっくり推敲→サイトアップという手順になりそうです。
次はなつかしの吸血シリーズみたいです。

時々メモをのぞいてやってくださいね。

以上Y子でした。

○好みはオヤジとか青年とかなんですが、描くのは子供のが楽です。なので僕のおとうさんは、描いていて楽しいv


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