続きです。
*** 「クラウド、仏陀として彼の者を必ず覚醒させなければならない」 「普遍の真理の為にも――」 何より、 「末法を迎えるであろう、この世界の為にも」 クラウドに言葉を尽くすルーファウスに、ザックスは嫌な感じがする。 ――何か企んでるのか!? 普段のルーファウスは理由などいちいち解かない。 ただ命じるだけ。 己の命令に沿わないであろう者に対しては、そもそも命じることさえしないのだ。 それが今回は明らかにルーファウスの命令を聞かなさそうなクラウドに対して、ここまで言い募ってでも従わせようとしている。 ――いや、違うな… ――従わせるっていうんじゃないな。 これは、 ――ルーファウスはクラウドに行かせたいんだ。 どこに?――仏陀となるべき者の元へ。彼の夢の中へと。 ザックスが己の思考の虜になっている間にも、ルーファウスの説得は続く。 クラウドも頑ななままではあるが、徐々にルーファウスの言葉に耳を傾けようとしている。 元よりクラウドはルーファウスの命令に従うつもりなどないだろうが、普遍の真理なるものを求め続けているのも事実だ。 〜自分の願いを得る為には、何らかの犠牲を払うべきだ。〜 闘神であるクラウドにも、この考えはきっと自分同様根付いているに違いない。 そういう部分では、ザックスとクラウドは似た者同士なところがあった。 ザックスは神王帝釈天である公式の部分ではないところで、クラウドと親交を深くしてきたのも、こんな共通項を感じ取っていたからだ。 神王としての立場を優先すると、クラウドにはルーファウスの命令に従ってもらわなければならないのだろう。 だがザックス個人としては、クラウドの不利になるようなことは、なるべく避けたい。 どうするべきか――とザックスが躊躇っている目の前で、クラウドが鋭く切り返す。 「大梵天はオレにどうあっても、仏陀となる者の夢の中へと入らせたいということか」 ――そうだろう?違っているか? クラウドは馬鹿ではない。 ザックスほどにルーファウスを知っているのでもないが、今回の彼の態度に含むところがあるのは気が付いていた。 切り返されたルーファウスの目が細められる。 核心へと突っ込まれた不愉快さではなく、予想以上に馬鹿ではないクラウドを面白がっているのだ。 「――その通りだ」 タチの悪い微笑を口の端に乗せる。 神王としては相応しくなく、だからこそピッタリな不可思議な微笑だった。 「何故オレにそうさせたいのか?」 ここでクラウドは間を空けて、 「聞いても無駄なのだろう」 「そうだ――」 それに、 「ちなみに、お前が夢の中にはいるのは、仏陀として覚醒させる方法として一番適していることは事実だ」 ルーファウスのうのうと言ってのける。 「大梵天は兜率天随一の知恵者なんだと聞いている…」 「それが本当ならば、オレが真理を求める限り、お前に従わねばならないのだろうな」 「そうだ――阿修羅王は賢いな」 ルーファウスは不可思議な微笑のままで、クラウドを褒めた。 「私は賢い者は好きだ」 それが例え、 「非天であってもな」 クラウドは眼差しをルーファウスに固定したまま、決意する。 「わかった――」 「その者の夢の中へと入ってみよう」 対と好意を持つ非天との間で、ザックスは彼らしくないため息を吐くしかなかった。
*** 次回セフィロスの登場です。 だんだんと仏教色が濃くなっていくかも知れませんが、 ただの読み物として解釈してください。
Y子さんにも言われましたが、わからない語句は各自でググってみてください。 ですがあくまでも私アレンジの設定となっておりますので、 必ずしもググって出てきたものには当てはまらない場合もあります。 そこのところは各自脳内補完でよろしくお願いします。
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Y子
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漢字がむつかしいのです(笑) ぐぐってます
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03/05(WED)22:10:04
[223-1930]
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