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+ '08年02月25日(MON) ... ブッダという真理その4 +

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土日とお休みをいただきました。
続きです。

***
大梵天ルーファウスは冴えた一瞥を対に投げかけると、話を進める。
ザックスとじゃれている場合ではないのだ。
「ザックス――私がお前の白象の姿を借りた時のことを覚えているか?」
神王には鳥獣が僕としてついている。
大梵天ルーファウスは四羽の鵞鳥。
帝釈天ザックスは白象であった。
ザックスは文字通り首を捻りしばしの間考える。
やがて思い当たったのだろう。
「あの時か!」
「人間界の女に送った時のことだろう」
「そうだ――人間界の女の夢の中に、お前の白象の姿を借り手送った時のことだ」
さりげなくザックスの記憶の補足説明をいれて、ルーファウスは要件に入った。
「我々は仏陀を人間界に降臨させるプロジェクトを始動させた」
人間界の暦で27年前、このプロジェクトは始まったのだ。
「まず我々は白象を釈迦族王妃の夢の中に送り込んだ」
ザックスの白象は六本牙の形をとって、釈迦族王妃摩耶の胎内に入ったのだ。
そうやって仏陀を人界に降臨させる道筋を作った。
「王妃は見事に懐妊。月満ちて仏陀を産み落とした」
他の人間と同じ産道からではなく、彼女は右脇から子供を産み落として、一ヶ月後に死んだ。
いくらまだ未成熟で幼い赤子でしかなくとも、仏陀を降臨させる奇依となるには、人の女はあまりにも脆弱すぎたのだ。
摩耶は文字通り己の生命力を全て注ぎ込んで、仏陀を降臨させた。
仏陀となるべき子供はこうして人の世に生を受け、王の息子として健やかに育っていたのだが――
「覚醒が遅すぎる」
「プログラムによると、彼はすでに仏陀としての道を踏み出してなければならないというのに」
仏陀となるべき身でありながら、妻と子供をもうけ、時を無為に過ごしている。
少なくともルーファウスにはそう見えるのだ。
彼には絶対仏陀となり覚醒してもらわねば困る。
彼が仏陀とならなければ、真理どころか人の世は乱れ、末法へのカウントダウンが設定以上に早く進んでしまう。
そうなると56億7千万年後に現れる最終救世主弥勒の発動が上手くいかなくなる。
全ては緻密にプログラムされているのだ。
ひとつの遅れは全体の遅れへと繋がり、結果失敗を引き起こしてしまう。
プログラムを組み、正常に発動させ、進行させていく。
そうやって天地と人を真理へと導いていくのが、神王の第一の使命なのだ。
それが解っているのかいないのか、対であるザックスは暢気なもの。
ざんばらに切られた髪を掻きながら、
「ルーファウス。お前がちょっと働きかけてやれば、それで済むだろうに」
などと言ってのける。
ルーファウスは本日何度目になるかのため息をつきつつ、
「それがどうしようもないから、お前達を呼んだのだ」
「お前、もうなんかやってたのか」
――当たり前だろう。
プログラムの進行が遅いと感じた時点で、ルーファウスに打てる手はすでに打っているのに決まっているだろうに。
ルーファウスの打った手に、何の効き目もないからこそ、お前達を呼んだのだ。
と、ザックスに向かって言いたいことは山ほどあるが、ここで一々文句を垂れても、目の前の脳天気な神王は気にもすまい。
長い付き合いなのだ。そのくらいのことルーファウスはわきまえている。
なにせ大梵天というものは、理と知の神王なのだから。

***
今回はここまで。

びーこ ♪&拍手、コメントなどありがとうございます。
下の位置からではありますが、コメントをお返しさせていただきます。

20日21時、新たなメモ連載について、の方>
お読みいただきましてありがとうございます。
この話では、私の創作設定が多くなると思われますので、
学生時代にお勉強されたものとは、微妙にちがってくるでしょう。
その差違も楽しんでいただけると嬉しいです。

24日5時、N様>
メモ連載もSWも楽しんで頂いているようで良かったです。
どちらも最後までお付き合いいただけますと、嬉しいです。

他にも返信不要のコメントを頂いています。
ありがとうございました。
大切にさせていただきます。

02/25(MON)14:34:40  [215-1803]


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