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+ '08年01月08日(TUE) ... いわゆるダブルパロその続きの2 +

大広間を出て、廊下にまで至って、やっとセフィロスは口を開いた。
腕にあるマスターに、
「宿はどこだ?」
と問う。
何せ早く二人きりになりたい。どこも人目がありすぎる。
セフィロスの問いにクラウドは別の提案をした。
「それよりもオレのアルテマに会いたくはないか?」
ファティマとMHは文字通り一心同体となるべき間柄だ。
クラウドも早く愛機に会わせてやりたかった。
アルテマもセフィロスを歓迎するだろう。なにせこのファティマは、おかしなファティマではあるが、性能はとびきりなのだから。
クラウドの提案にセフィロスは心囚われた。
クラウドと早く二人きりにもなりたいが、クラウドのMHにも会いたい。
別に部屋でなくとも良いのだ。カーゴベースでも二人きりになれる。
こう考えると、クラウドの提案は素晴らしい。
「会いたい――会わせてくれ」
よし。
「預けてあるカーゴルームに行こう」
だが、その前に、
「頼むから、下ろしてくれないか」
「この状態に何か問題でもあるのか?」
問い返すセフィロスは大いに不服そうだ。
クラウドは苦笑で肩を振るわせながら、
「男が男を抱いて運んでいるなんて、目立つだろう」
恥ずかしいなどと言っても、絶対にこのファティマには通用しない。
だからクラウドはあえて、こういう言い方を選ぶ。
そしてこの選択は的確であったようだ。
「目立つのか?」
「ああ、とてもよく目立つ」
「――わかった」
セフィロスは腰を屈めて、そっと下ろした。
まるで深窓の姫君に対する態度に、クラウドは大声をあげて笑いたくなった。
――オレは騎士だぞ…
騎士はファティマよりも強い。いや、セフィロスならば騎士以上の性能を持っているのだろうが、それでも騎士は騎士。
クラウドが騎士だということを。果たしてセフィロスは理解しているのだろうか。
――お前さっきマスターって呼んだだろう。
からかいたくなってしまう衝動を、クラウドは首を緩く振って耐えた。
その様子をセフィロスは察知して、
「どうした――」
本当に、主思いのファティマなこと。
きっとティファよりも。
「いや…なんでもない」
「さあ、行こう」
クラウドは先に大股で歩いていった。
セフィロスもそれに続く。

エアリスの用意してくれたカーゴベースは、かなり立派なものだ。
そこにクラウドの愛機、アルテマウェポンは静かにあった。
漆黒のボディを見上げ、セフィロスは翠の瞳を見開く。コンタクトグラスを外しているのだろう。瞳と虹彩との間が妖しく煌めく。
二足歩行型のアルテマはどちらかというとスリムだ。余計な装甲は一切無く、すっきりとシンプルな外見をしていた。
MHの素人ならば、アルテマの真の能力を見抜くことなど出来ない。
ただヘッドライナーならば、MHマイスターならば、アルテマの性能に脅威を感じるだろう。
クラウドはアルテマの装甲に手をかけて、軽く叩く。
漆黒の装甲は見た目よりも遙かに重い音がした。
「どうだ。これがお前の相棒になるアルテマウェポンだ」
どうだ、と言われてもセフィロスは声もでない。
一目見て、セフィロスにはわかったのだ。アルテマの性能の凄まじさを。
「これは…」
「――マイスターは誰だ」
「さあ、オレも知らない」
「知らない!?」
「クラウド。お前の愛機なのだろう?」
「ああ、そうだ」
それでも、
「知らないものは知らない」
「説明してくれ」
「アルテマは造られたんじゃない。発掘されたのさ」
コレルという星がある。そこでアルテマは発掘されたのだ。
鉱山事故で露わになった地層から出てきたMH。それがアルテマウェポンなのだ。
「コレルのMHマイスターにバレットというヤツがいる」
バレット・ウォーレス。マイスターとしては星団屈指の腕前を持つ。
ただしかなり気むずかしい気分屋であり、金で仕事は請け負わない。
「アルテマは発掘された後、バレットの元へ運び込まれた」
そして、騎士が乗りこなせるように改良されたのだが、十年以上誰も乗りこなせないままでいたのだ。
なぜならば、アルテマには意志があったから。

***


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