バレットとしてはティファのようなファティマを娶るべきだと考えてくれていたのだろう。 そしてティファの時と同じように、甘く優しい結びつきを作るべきだ、と。 それがどうだ。セフィロスは同じファティマでありながらも、ティファとはまるで違う。 あれではクラウドの幸せは望めない。そうバレットは案じてくれているのだ。 クラウドを案じる気持ちが、セフィロスへの嫌悪となっている。 案じてくれる気持ちはありがたいが、クラウドはセフィロスと別れる気はない。 こんなに感嘆に別れてしまうのならば、そもそも最初から娶りはしなかったのだから。 「バレット――」 「セフィロスはマインドコントロールを受けていないようだ」 「まさか!?」 本当に、ファティマなのにマインドコントロールされていないだなんて、有り得ないのだが。 「それでも、オレはセフィロスを娶った」 「解消する気はないよ」 「しかし…マインドコントロールされていないなんて、大丈夫なのか?」 ああ、 「セフィロスは見かけよりもずっと素直だ」 「今のところ上手くやっていると思う」 さっぱりと言い切ったクラウドに、バレットは密かに面食らう。 クラウドはいつも心のどこかに重い憂鬱を抱え込んでいた。この憂鬱は心の深淵にいつもあって、いくらティファが解きほぐそうとしても、ムリだったのに。 ――なかなか良いツラしてやがるぜ。 クラウドは安定している。少なくとも安定しているように見える。 ティファと共にいる時よりも。 「ヤツはアルテマに乗れたんだな」 「セフィロスはちゃんと操縦出来るよ」 「ならば、俺が口を出すことはねえな」 アルテマが許したのだ。バレットも認めるしかないのだろう。 「ティファとかなり体型が違うから、改造が必要だな」 シートの位置も変えなければならないし、ファティマシェル全体を見直すべきだろう。 「改造が終わったら試乗して見せてくれよ」 あのファティマをパートナーとしたクラウドが、どんな風にアルテマを駆るのか、是非見てみたい。マイスターとしてのバレットの本能が擽られる。 「是非見てくれ」 クラウドがバレットの肩を軽く叩く。 それから二人は肩を並べて、セフィロスが待っているゲージへと向かった。
*** 今回はここまで
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