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+ '08年01月21日(MON) ... しょうこりもなくダブルパロその1 +

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年末から書いていますFSSダブルパロの続きです。
時系列も前回の続きっぽいです。
誤字脱字変換ミスは、各自脳内で補完してくださいませ。

***
夜明け前、まだベッドから起きあがるには早すぎる時間帯。
クラウドはある気配を感知する。
半分まどろみながらも、近づいてくる気配に意識を向けた。
彼を娶ってからこの気配がやってくるのは、ほぼ毎晩のこと。そろそろ馴染んできた気配に、クラウドは応じるように寝返りを打って、いつもの通りベッドの半分をあけてやる。
気配の持ち主はそっとクラウドを窺うと、なるべく静かにあいたベッドの半分に身体を滑り込ませてきた。
普通のシングルよりは大きめのサイズであるとはいえ、並はずれて長身の彼には狭い空間だろうに、むしろ狭いことを歓迎しているようだ。
クラウドの隣へと滑り込んだ彼はなるべく密着してくる。かなりの至近距離だ。吐息すら感じられるくらいに。
そうやってから彼はクラウドを観賞し始めるのだ。

それにしても、やはり
――おかしなファティマだなあ。
クラウドよりも彼自身のほうが、遙かに観賞に値する美貌だというのに。
そもそもファティマが騎士に捧げるのは、ただの純真な献身などではない。
ファティマとしての己の能力を存分にふるえるだけの騎士を冷静に判断して、自分が認めた騎士をある意味利用するのだ。
一度認めた騎士だろうが、実力が劣ればまた別のマスターを選ぶファティマも多い。
それがどうしたことか。星団一、二を争う天才マイト二人がつくったファティマセフィロスは、マインドコントロールを受けていないせいなのか、マスターと選んだクラウドだけを一心に求めてくる。
その様子は痛々しいくらいに真摯である。
また幼子が必死に親を求めているようで、つい絆されてしまうこともしばしば。
これだってそうだ。
クラウドはいくら見目麗しいからといって、セフィロスをセックスのパートナーにするつもりなど考えもしなかった。
以前のファティマ、ティファとは確かに肉体関係があったが、それはあくまでも恋人同士としての関係が二人の間で自然と構築されていたからこそ。
セフィロスは男性型であることだし、いくら美麗だといえどもクラウドは性欲さえ押さえられないような獣ではない。
性欲を処理する方法ならばいくらでもある。かえって男同士なのだから、肉体を介在しない関係をつくるべきなのだ、と…そう考えていたのだが、セフィロスは違っていた。
彼は最初からクラウドを求めてきたのだ。
心も、もちろん身体さえも。
独占欲を剥き出しにして、クラウドに迫ってきたのだ。

セックスを拒否したクラウドに、表面上セフィロスは落ち着いて見えた。
それ以上の無理強いはせずに、クラウドのファティマになるべく、精進しているように見えたのだが、そのうちに夜中眠っているクラウドをこっそりと窺うようになっていく。
クラウドが寝入った時間帯を見計らい、寝室の扉越しにそっと様子を窺ってくる。
暫くはそれが続いたが、そのうち様子を窺うだけでは物足りなくなったのだろう。
他のファティマはともかく、少なくともセフィロスは強欲だ。
彼は寝室の扉を開け、クラウドが眠るベッドの側までやってくるようになる。
かと言って手はださない。どこにも触れない。
ひたすらに気配を殺して、クラウドの寝姿を観賞するだけなのだ。
いくらどうであれクラウドは騎士だ。どれだけセフィロスが己の気配を殺そうとも、気が付かない筈がない。
ただじっと寝姿を魅入り、そしてクラウドが目覚める前には、自室へと帰っていく。
正直、そんなセフィロスに絆されたのだろう。
ある夜、クラウドは態とらしい寝返りをうって、ベッドの半分を空けてやる。
クラウドのこの行動で、セフィロスは己が許されているのを悟った。
彼は迷うことなくベッドの空いた空間へと潜り込んでくる。
不埒なことでもするのかと思えば〜そんな行動を許すつもりはないが〜セフィロスは身体をずらせて、頭をクラウドの背中へと高さを合うようにした。
そしてそのままそっとクラウドの背中に頭を押しつけてくる。
何をしているのか――クラウドは軽いデジャヴに襲われた。
――鼓動を聞いてるんだな…
ティファも同じことをよくやっていた。
彼女はいつもクラウドの鼓動を聞きたがっていたのだ。
何故そんなことをするのかと問うと、彼女はこう言ってたものだ。
(落ち着くの――クラウドの音を聞いていると)
心音だけではなく血流の音も、聞きたいのだと言う。
どうやらそれはセフィロスも同じということなのだろうか。
寝間着代わりの薄手のシャツ越しに、セフィロスはクラウドの生きている音にじっと聞き入り、己を委ねているようだ。
そうして――眠った。
強引で美麗すぎるファティマの眠りにしては、とても健やかな寝息にクラウドは考える。
――そう言えば…
母親の腹にいる胎児は、様々な音を聞いているのだという。
外界の物音。人の声。母親の腹越しに妊娠期間中ずっと聞いているのだと。
だが胎児が一番よく聞いているのは、もちろん母親の胎内の音だ。
母親の心音。自分の周りを流れる血流の音。
ファティマは人の手によって造られる人工生命体だ。
無論胎生ではない。ファティマは母親の胎内ではなく、カプセルの中で育つのだ。
母親の胎内を知らない筈のファティマが、生きている音を求めてくるこの行為を、ティファだけではなく、この尊大で傲慢で美麗なファティマも求めてくるなんて。
ティファもセフィロスも、別にクラウドに“母親”を求めているのではない。
それでも、やはり彼らも生きている音が恋しいのだ。
――寂しがりやで甘えん坊なファティマか。
どうやら、自分はそんなファティマと縁があるらしい。
クラウドは投げ出されたセフィロスの大きな手を、そっと握ってやった。

***
しばらくお付き合い願います。


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