調子にのりました。 すみません。ボクがやりました。反省しています。
前回のその後というか、すぐの続きの時間軸です。 誤字脱字細かい設定など、全ておかしな点はスルーしてください。
*** 生まれてこの方、これ程恥ずかしい思いをしたことはない。 きっとこれからも、ない筈――と、ここまで考えて、クラウドは考え直す。 ――いや… たぶん、 ――このとびきり綺麗でおかしなファティマといる限りは、続くのかも。 諦観というよりも達観した気分のまま、クラウドは今自ら選んだ〜その実はおしかけに近いのだが〜ファティマに抱かれながら、お披露目の会場となっている大広間を移動中であった。
クラウドは騎士である。 通常の人よりも遙かに優れた能力を持ち、MHを自らの身体のように使いこなす、選ばれた戦士。 ――それがこのザマはどうだ… 自らの状況に苦笑しつつ、クラウドは力を抜き、身を委ねた。 大柄ではないクラウドの身体は、逞しい腕によりほとんど傍目からは見えないだろう。 クラウドを軽々と抱き上げているファティマの名はセフィロス。 3Aという最上級の性能を持つ。また彼を製作したマイトも凄い。 5つの星団で1,2を争う天才、ガスト博士と宝条博士の共同開発なのである。 つまり現水準で最高の英知が結晶して生み出されたファティマ、それがセフィロスなのだ。 年齢設定にもよるが、小柄で針金のように細いのがファティマのスタンダードであるのに、セフィロスは違っていた。 自身こそが騎士のような長身と、広い肩幅、長い手足と。 何よりその美貌だ。ファティマは美形なものであるが、ここまでの美麗さは他のファティマにはない。 どれだけ美しかろうとも、どれだけ人以上の性能を備えていようとも、所詮ファティマは人形でしかなかった。 騎士にそして星団法に、人に従属すべき存在でしかなかったのだ。 それがセフィロスは別だ。彼は支配者であった。 彼の行動は彼が決める。彼の意志決定は誰にも邪魔出来ない。 「イエス・マスター」 とクラウドに忠誠を誓った瞬間、セフィロスはクラウドを抱きしめる。 その時耳が痛くなるような喚声によって、彼は初めて自分の周囲を認めたのだ。 興味津々で見守るギャラリーたち。今回のお披露目に招待された、各星団の有名ゲスト達ではあるが、セフィロスにとってはただのピーピングトムでしかない。 絡みつく視線も、剥き出しの好奇心も煩わしくてならない。 早くクラウドと二人きりになりたいのに。 第一、 ――下素な視線でクラウドを見るとは、許さん。 やっと手に入れた、大切なマスターなのだ。 セフィロスの決断は迷い無く早い。 彼は自分よりも小柄なクラウドを横抱きにすると、そのまま肩に置いた手を滑らせて深く抱き込んで、マスターの整った顔をギャラリー達から隠してしまう。 セフィロスにはそういう意味の羞恥などない。 彼はクラウドの顔を隠しつつも、自身は毅然と顔を上げて、大広間の衆人の中央を真っ直ぐに進んでいった。 騎士とファティマが公私ともにパートナーとなるのは、珍しくはない。 己の娶ったファティマを公然と恋人として扱う騎士も多い。 だがその逆。ファティマから騎士を、こうして愛おしむのは、とても珍しいのだ。 ファティマのほとんどが女性型であることもあるが、やはりファティマとはどれだけよく出来ていても人形でしかないからだ。 こうして誰はばかることなく、マスターへの独占欲を露わにするなど、まずは出来ないこと。 セフィロスが二大天才マイトの作品だからなのか。 どう見ても、彼は人形には思えない。
*** ファティマセフィロス、忠犬への道。 という感じで話は進んでいきます。
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