続きです。
*** セフィロスの愛する少年、クラウドの外見は見事な金髪碧眼。白い肌とすんなりとした肢体。 彼の血はセフィロスとは違いシンプルである。 クラウドの母親は中流以下の階級出身である為、己の血のルーツを知らない。 一方、クラウドの父親は上流階級の一員であった。 父親は邂逅する筈のない平凡な少女に恋をする。すでに妻子がいる身でありながら、少女を己の恋人とした。 彼は少女こそ、運命の女なのだと悟った。そして生まれたのがクラウドだ。 父親は少女を彼なりの誠実さで愛していたのだろう。 住む家を与え充分な生活費を宛い、時間が空けば恋人の元に通った。 恋人そっくりな息子が生まれてからは、ますます愛情深くなり、先に生まれていた正妻との間の子供よりもクラウドを愛した。 愛人関係にあるという事を覗けば、二人は真実愛し合っていたのだと言えるだろう。 郊外にある小さな家で、二人は立派に家庭を築きあげていたのだが、その幸せは泡のように儚い。 急な事故で父親が死ぬと、生活は一変する。 幼い息子を抱えた恋人は、正妻により疎まれていたのだ。 どこまでもお坊ちゃん育ちであった父親は、生前のうちに恋人と息子の頼れるだけの術を何も残しておかなかった。 そこをつけ込まれる。家を追い出され、財産は没収。彼女に残ったのはまだほんの子供でしかない息子のみ。 彼女は生活の為に働きに出ていき、子供は一人で待つ日々が続く。
セフィロスが少年から聞いているのはここまで。 その先は知ってはいるものの、少年自身の口からは語られてはいないから、セフィロスは知らないことにしている。 だがクラウドの自分と出会うまでの過去とは、セフィロスにとってとても切ない感傷そのものなのだ。 唯一の家族である母親が仕事に出るのを余儀なくされ、クラウドは寂しさに耐えるのが精一杯だっただろうに。 仲睦まじい父親と母親。そして幼い頃から親しんできた使用人達とに囲まれた幼少時代とは正反対の寂しい環境。 クラウドを溺愛した父親は、幼い息子の様々なモノや機会を惜しみなく与えてきたそうだ。 ピアノを教え、バイオリンを与え、たくさんのおもちゃに可愛らしい子犬も。 小さな家ではあったが、あそこにはクラウドの幸せが詰まっていたのだ。 淡く儚く全てが優しい。そんな幸せがあの時代にはあったのに。 そう想うとセフィロスはたまらなくなる。 クラウドを父親の分までそれ以上にも愛してやりたいという衝動に駆られてしまうのだ。 こんなセンチメンタルは、クラウドと出会うまでは、無縁だったのに。 環境にも才能にも血筋にも恵まれすぎてきたセフィロスは、己自身のことにすら関心の持てない男だったのだ。
*** はれくいんモノの設定ってこんな感じですよね。
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