妄想SS
その時間−−クラウドは己を遠くに眺めながら過ごす。
セフィロスは最高級の相手だと、経験のないクラウドにもそれくらいは解る。
容姿の美しさもさることながら、誰もがひれ伏してしまう。知らず知らずのうちに己を捧げてしまう。
セフィロスとは正に英雄であり、ピラミッドの頂点に君臨する絶対の支配者なのだ。
支配者である英雄がクラウドに触れる。
指で、舌で、唇で。彼の弱さなど微塵もない美しい身体全体で、惜しげもなく愛撫をくれる。
まだ幼いクラウドのペニスに口づけ扱き、しゃぶって、放った精液を呑み込んでくれる。
アナルを舐め、指で触れて、そしてこんなモノすらも圧倒的に美しい、そんなペニスで貫いてくれる。
クラウドは初めてだった。母親がくれる軽いキスと、友人となったザックスが用心深くくれる軽いスキンシップ程度しか知らなかった。
クラウドは慣れないモンスターの仔と同じだ。
世界は狭い。母親が用意してくれた巣穴〜故郷ニブルヘイム〜がいつもある。
だがそれだけでは生きていけない。おずおずと巣穴を出て、広い世界を目の当たりにした…ここでセフィロスが現れたのだ。
そしてクラウドを抱いた。
快楽の意味も知らないクラウドにとって、セックスとは全くの未知。
発育は正常だから、扱かれれば気持ちよくなる。精通もあるから射精もする。
単純にそれだけ。それだけのことでしかない。
セックスという行為の意味も、その危うさも知らなければ、これが複雑なコミュニケーションともなり、深い愛の交歓となるのかも、知らない。
だから射精した後は身体と心が乖離する。
セフィロスに貫かれている己は確かに実在していて、確かに気持ちよいのではあるが、その全てはどこか遠い。
セフィロスに押し潰されるような体勢で行為が終わった後も、遠いままだ。
気怠いままの身体をセフィロスが抱きしめてくる。汗ではりついた髪を撫でて、いつもは隠されている額に口づけられてしまう。
クラウドは抵抗などしない。心が遠いままだから、ただぼうっとしているだけ。
そんなクラウドをセフィロスはどう考えているのだろう。何も言わない。
暫く静かな時間が過ぎた時、クラウドは身体の内側からおかしな感触が降りてくるのを感じた。
何かが漏れそうな気がする。
ムズムズさせるクラウドに
「どうした?」
言葉少なだが、セフィロスが気に掛けてくれる。
「ごめん…なんか気持ち悪い」
「気分が悪いのか」
形の良い眉が顰められた。そんな小さな仕草すらも憂いを含む。
「そうじゃなくて…」
どう説明すれば良いのだろう。漏れそうだ、などとは言えないし。
押し黙ってしまったクラウドの様子にセフィロスは何かを気づいたようだ。
クラウドの身体を抱いたまま、ベッドから降りる。そしてそのままバスルームへと。
シャワーブースにクラウドを押し込めると、
「今日はゴムは使わなかったからな。ちゃんときれいにしておけ」
どこを?とは言わないまま、バスルームから出ていってしまう。
よく意味は計れないままだが、それでも助かった。
クラウドはシャワーをひねり、適温の雨を素肌に浴びる。
やはり、キモチイイ。緊張していた筋肉が自然と解れて…
「あっ…」
内側から何かが漏れてきた。まだ細い太股へと伝っていく。
−−なんだろう?
触ってみると白い液体。粘液っぽい。
どこから溢れているのか、と指で伝ってみると、それはアナルからだった。
アナルに指を差し込むと、ドロリとばかりに溢れ出てくる。
指で掬って目の前にもってくる。無意識に匂いを嗅いだ。生臭い、でも知ってる匂い。
−−これって、まさか!
精液−−セフィロスの精子。
カッと全身が燃えてくる。
やっと意味が解った。セフィロスの言葉の意味が。
いつもセフィロスは避妊具を使っていた。でも今日は使わなかったのだ。
クラウドの体内に直接出したのだ。
−−オレ…オレ、本当にセフィロスに…
セックス。
この意味がずしりとのし掛かってくる。重いだけではない、恥ずかしい、どこかくすぐったい、不思議な重みだ。
喜怒哀楽とその四つに分かれた感情の狭間にある、曖昧な部分も含めて。その全部がこの”セックス”という行為に凝縮されている。
−−オレは、どうしたらいいんだろう…
シャワーブースの壁に手をついても、混乱する気持ちは収まらない。
クラウドは無意識に指についたままのセフィロスの精液を舐めた。
セフィロスに似合わないほど生臭くて苦いが−−美味しかった。
***
メモへY子が描いたラクガキでB子さんが妄想してくれましたv