マニア



旧サイトより再掲載

マニア 1 mania/熱狂者.マニヤ. [人]a〈football, fishing〉maniac; a fan.⇒−狂. ・〜である have a mania ((for)).
出典/『三省堂 Web Dictionary』
ある物事に熱中している人。「カメラ―」「オーディオ―」
出典/大辞泉
趣味などで、一つの事に熱中している人。狂(きよう)。 「鉄道―」「切手―」
出典/三省堂



ゾロは実はお洒落でありこだわりの人である。
普段着用しているじじシャツはオーダーメードの品であり、身ごろも全てゾロの動きに邪魔にならないように計算されている職人の手になるものだ。
襟刳りの縫製も二重で更に返してあり、縫いしろが肌に触れないようにきちんと処理してある。
紡いだ綿もその筋では有名な土地のもので柔らかく吸収発汗に優れ丈夫で長持ち。
ボタンホールも4個空いていてその大きさも素材もゾロが自ら選んだ品だった。
土方御用達のような 関東鳶風のズボンもゾロの足さばきに合わせての特注品。


ハラマキにいたってはそりゃ特別中の特別だ。
アムランドという島のみに生育するドッキー羊の毛を紡いで編み上げたそれは手間隙かかった特急品であり伸縮自在のノビ〜ル毛糸は職人が命込めて編み上げた芸術作品でもある。
これ1枚で実は普通の家なら1軒は立つ金額なのだ。
ちなみに光るものには、もっと目がない。
ゾロは独自の趣味思考を持っていて、キラキラする光物が大好きなのだ。
今は旅の最中だからコレクションをするのは諦めているが、ピカピカキラキラが大好き。
派手派手なのも大好き。
なのでせめてもの主張が耳にブル下げた3連ピアスだった。
同じものを3本ブル下げているのも気にいった物は常に観賞用、保存用、予備用となんでも3セット購入していた名残だったりしている。
旅に出る時に1番気にいっていたものを3つとも耳に下げてきたのだ。
だから刀のキラキラした刃先も見てるだけでうっとりしてしまうし、鞘の趣向にも実は煩いのだ。


なので・・・・みなで入った海上レストランであのキラキラな頭を見た瞬間に「欲しい」と思ったとしても当然のことだった。

世の中には金色の頭の人間が居るのは知っていたがサンジのそれはちょっと反則だと思う。
そりゃツヤツヤのぴっかぴかなのだ。
甲板でサンジが動く度に光に反射して白いくらいにぺかーーーーっと輝いている。
刀の手入れなんかしていたら、刃にきら〜〜〜んとあの金髪が光って映る。
生唾を飲み込むほどに触ってみたいキラキラの頭なのだ。
だからついサンジの方ばっかり目で追ってしまうゾロだ。
一生懸命に見るから眉根が寄って、細められた瞳が興奮にギラギラするものだから、どうみてもメンチ切ってるぜぃオラオラ状態なわけで、ガチンコ勝負10秒前に傍からもサンジからも見えるわけだが、全てマニアの熱い視線だったりする。

どうにかして触りたい。
何度もそう思って近づこうとするのだけど、ゾロの興奮気味の鼻息と、血走って開いた瞳孔にサンジが過剰反応をおこし、生意気なことばかり言うものだから、うっかりゾロも乗せられて毎度当初の予定と違った流血騒ぎに突入してしまう。
サンジとの軽い運動で気分が晴れるかといえばそうでもなくて、鼻先を掠める金色にガチンコの最中でも背筋がゾワリと震え、生唾を飲むはめになるから、ゾロの欲求不満はマックスまで高まってしまうのだ。

抜けるような青空を見上げながら、そういえば金色の目玉も青かったなと鉄串を振り回しながらも思考の先は金色サンジのことばかり・・・。
クルーの中で一番働き者の彼はちっとも一箇所にじっとしてなくって、倉庫に行ったり、洗濯したり(これはゾロたちも強制的にやらされる)キッチンに篭っているかと思えば、おやつを持って出てくる。
クルクル動く金色。
ピカピカキラキラ光っている。
ゾロの大好きな金色。
触りたくっておかしくなりそうだったが、あの凶暴なコックがそんなことを許すはずはない。
素直に触らせろと直球勝負をかけても負けるのは目にみえている。
鉄串を振りながらゾロはどうしたら触れるのか気になる金色のことを今日も考え込んでいた。

「ナミすわあああああああん。ロビンちゅゆわあああああああん、おやつですよ〜〜」
クネクネとしながら瞳をハートにしてサンジが旨そうな匂いのおやつを甲板にデリバリーしていた。
「今日のおやつはくるみのブラウニーになります。お好みでパイナップルソースかオレンジクリームを添えて召し上がってください。お茶はアッサムティーをストレートで」
ゾロにはわけのわからないウンチクを言いながらサンジが優雅な仕草で給仕をする。
おやつの匂いで煩い船長は給仕の邪魔とばかりに山盛りのブラウニーを丸ごと放り投げている。
ひとしきり女どもにクネクネと媚び終わると、ゾロの方にもおやつを持って来た。
「クソマリモ!有難く食いやがれ」
可愛くない言葉を吐き出しながらもゾロの分はしっかり分けてあるとろこがコックの律儀なとろこだろう。
「おう。食ってやる」
ゾロも条件反射のように可愛くない返事をしながら鉄串を立てかけしばしの休憩だ。
その場に座り込み、ブラウニーを摘むゾロの横にサンジも腰を下ろすと煙草に火を点けどうやらコックも休むらしい。
毎日のおやつタイムから夕食の仕込みまでの僅かな時間サンジもこうして時折休むことにしているようだった。
ゾロの隣にある金色。
潮風に悪戯されながら跳ねるように踊っている金色。

意識する前に手が伸びていた。邪魔そうな前髪に指を差込みかき上げる。
ギョッとしたような顔のサンジと目が合い。
触っちまったんだと自覚する。
固まったまま煙草を銜えていることも忘れたようなサンジをよいことに、せっかく触ってしまったので、感触を楽しむことにした。
そっと指を抜きながら金髪がさらさらと指の間を抜ける感覚を味わう。
もう一度指を差込みまた抜く。
何度繰り返してもさらさらとこぼれれ落ちる黄金。
潮風にやられてもっと硬く強張っているかと思った髪は滑らかで、こしがあり、さらさらと流れていく。
昔やった砂遊びのようで、ゾロは夢中になって何度も繰り返していた。
「あのよ」
おずおずといった風にサンジから声がかかる。
「これっていったい何の冗談なんだ?」
「おう?」
「いや、だからよ。ひょっとしてオマエ、俺様の髪の毛触ってるよな?白昼夢とかじゃねえよな?」
「おう。触ってるな」
笑いながら視線を合わせた途端にサンジはぼぼぼっと耳まで赤くなる。
「テ・・・テ・・・テ・・・テ」
「あん?手がどうした?」
「手じゃねえ。テメエ何気安く触りやがる」
ガァーと意味不明の言葉を吐きながらサンジが立ち上がったかと思うと勢いよく踵が振り下ろされる。
するりと抜けていってしまった髪の毛の感触に未練を残しながらゾロは軽く体をずらして蹴りを避ける。
「テメ!何避けてやがんだ!!!っちくしょーマリモの癖にマリモ菌が移ったらどうしてくれるんだ。仕置だ。今から躾けてやるから避けるな!」
片足を上げたまま指先をゾロの眉間に合わせ真っ赤な顔して怒り狂うサンジなのだが、ゾロは先ほどまで感じていた金色の感触の方にばかり意識がいっているのか一向に取り合わない。
「なぁ。オメエの髪すげーな」
「あん?何トンチンカンな返事しくさってるんだテメェバカにしてるのか?」
そうじゃくってよと言いながらゾロが間合いをつめる。
びくっと肩を揺らせて緊張したサンジが凶悪な面構えでゾロを睨む。
「バカにしてんじゃなくってよ。テメエの髪は金ぴかだ」
「はぁあ?」
「いや。だからよ。キラキラしてて本当の黄金みてえに光ってるしスゲエ」
いつになく熱心な口調。どこか夢見がちな緩んだ表情のゾロが見たこともないようなニカニカ顔でサンジに詰め寄る。
「でよ、もっと触り心地は悪いかと思ったんだけどよ。触るとさらさらで砂金掴んだようにさらさらって金色が指の間抜けて、なんか俺は感動した」
ハッキリ言いながらゾロはアイドルに向けるような憧れの視線を向けてくる。
サンジはあまりに驚くことの連続でただせさえキャパの多くない脳内はフリーズ一歩手前だ。
あのゾロが自分の髪を触って喜んでいただけでも驚きだし気持ち悪いのに、あろうことかゾロはうっとりとサンジの髪を褒めちぎっている。
上げたままの足を下ろし、サンジは大きくため息をつく。
気を取り直すためにもう一度煙草に火をつけると、確認しておきたいことを聞くことにする。
こいつはもしかして金髪フェチのホモ野郎なのではないだろうか?
サンジは痩身の金髪碧眼で、しかも白い肌なんていオプションも持っていたので、昔からこの容姿で苦労をしていたのだ。
その手のやからは片っ端から蹴り込んで黙らせてきたが、ゾロからはそんな念派を感じたことなんか一度もなかった。
なのに何故今ごろになって突然うっとりしてくるのか?
ホモのフェチ野郎ならここでキッチリ締めておかないと後々面倒だ。
「オマエさ。ホモか?」
「はぁ?俺はホモになんかなったことはねえ」
「そうか。それは良かったぜ。安心した。で、金髪フェチなのか?」
「なんだ?その金髪フェチっちゅうのは?」
「はー。そうだよな。マリモだもんな。あのな金髪が好きで好きで仕方のないことを金髪フェチっていうんだ」
ゾロは偉そうに腕組をしながら考えると、違うなと呟く。
それで少しサンジはほっとした。
ほっとして油断したところにゾロから爆弾が投下された。
「金髪っていうより金が好きだ。金色でキラキラしてるもんがなんでもなんでも好きなんだ。あのよ」
と言いながらサンジの手を握ると自分のピアスに触れさせる。
「これな一番の気に入りなんだ。綺麗だろう?」
サンジの手のひらをゾロの無骨な手が包みこみ、指に指が絡まるようにしてピアスを確かめるように動かす。
しっかりと触れることが出来るようになのか、ゾロの空いた手はしっかりサンジの腰に絡まり、照れたように笑う顔が近く吐息まで顔にかかるから、サンジは居心地の悪さでいたたまれない。
思わず避けた頬に耳にゾロの声がかかる。
「キラキラしてて形も大きさも全部完璧なんだ。隣同士で動くと音が鳴るのも気にいってる」
耳元でゾロの唇の温度まで感じるからサンジはむずがゆくて仕方ない。
ほら・・・・と言いながらサンジの指をまたピアスに触れさせるとチリンと可愛い音が聞こえる。
「わかったから、わかったら離せ」
身じろいで腕の中から逃げようとするサンジの腰をしっかりフォールドしながらゾロはどうしてだ?と笑う。
さっきから、ツッコミどころ満載のゾロの言動なのに、サンジの良く回る口はすっかり大人しくなってしまっている。
「俺は色々趣味が煩いんだ」
はいいいい?コイツ今趣味とか言いやがったよな幻聴じゃねえよな?
「旅に出る前はそりゃ色々コレクションしてたしよ。今はこんな状態だから、金集めは諦めてるんだけど、やっぱり一番好きなのはキラキラのピカピカの黄金でよ。だから―――」
言いながら、それはもううっとりと、夢見がちな気色悪い顔をしてサンジの頬を撫でながらゾロの手が髪に差し込まれる。
表情がぶれるくらいに近づいた顔に硬直していると額と額がぶつかった。
「――だから俺ァずっと触りたかったんだ」
ひゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜。
なんですか?これってなんですか?
ゾロがクソがマリモがなんか壊れてるんですけども!
サンジの脳内は一気に混乱。フリーズ一歩手前である。
おたつくサンジに構うことなく、ゾロがくぅ〜とかうぅ〜〜とか唸りながらサンジの髪を何度も何度も飽きることなく梳いている。
しかも片手でしっかりサンジの腰を抱きしめたままでだ。
キャパオーバーで思考停止したサンジを良いことにゾロの手は余計な動きまでし始めた。
さわさわと動くゾロの手のむず痒さにサンジが意識を取り戻した途端ゾロは吹っ飛んだ。
真っ赤な顔でゼロゼロと息を切らせたサンジがゾロに向かってビシっと指を刺すと一言ヘンタイ!と言い捨て踵を返してしまう。
したたかに打ち付けた腰をさすりながらゾロはヘンタイってのはどういう意味だ?とまったく自分の行動の意味に気がついてはいなかった。

その日1日中サンジの機嫌が悪かった。
ゾロとしては一度手に入れた金色の感触をもう一度堪能したかったのだがサンジの不機嫌オーラはゾロ限定らしく取り付く島もない。
それでもゾロはしつこかった。
マニアというのは諦めないと同義語かもしれない。
一度ターゲットにした品を手に入れる為にはどんな努力も惜しまないのだ。執念深く狙った獲物は逃がさない。
なにしろゾロの狙った金色は今までの無機物とは違いそれはそれは素敵なのだ。
光に当たる具合でも観る角度でも感触でも全てにおいて毎回新鮮な喜びをゾロに与えてくれる。
だから、絶対に手に入れるのだと決心してしまっていた。


夜も更けたキッチンにゾロは居座っている。
酒を飲みながらツマミはサンジの後姿だ。
キッチンのランプの明かりでサンジの金髪は濃い影を落としている。
淡いオレンジのようにも見える色合いに時折キラっと光筋がゾクゾクするようだ。
触りてぇなぁ。
酒瓶を半分以上空けた頃になって手がうずうずしてくる。
サンジの方といえばまるで視姦されるように睨めつけられて悲鳴を上げるのを堪えるのにやっとだ。
気色悪くて仕方ない。
おおかたの仕込みを終えて、サンジは口に銜えたままの煙草に火を点けると意を決してゾロの方へ振り返った。
そこにはニッパリ笑ったゾロの姿が・・・・恐ろしいことこの上ない凶悪な面が全面に広がっている。
なんとか気持ちを立て直して口を開こうとしたサンジを牽制するかのようにゾロがうっとりと呟きを漏らす。
「キレイだよなぁ」
それが本当に心の底から滲み出た声で、温泉とかに浸かった親父が心底気持ちが良いと思わず口をついて出るような呟きだったから、怒鳴りつけて蹴り上げて躾けるつもりだったゾロに何も言えなくなる。
こりゃ・・・卑怯だろうがよ。
サンジは内心で毒つくが声にはならない。
ゾロはと言えば涎でもたらさんばかりにそりゃうっとり夢見心地でキレイだと繰り返している。
気持ちに語彙の追いつかない可哀想な野郎だ。
無視することも出来ずサンジは大きな溜息を誤魔化すように煙を吐き出した。

「なんか食うか?」
ゾロの存在を無視したサンジは今夜に限って肴を出してはいなかった。
サンジの声にゾロはふるふると首を振ると、隣の席をトントンと叩く。
出来るだけ嫌そうな顔をして睨みつけたつもりだったがそんなことで怯むようなゾロではない。
怯むどこかまったく意に関していないように隣の席をとんとんと叩くだけだ。
サンジは頭痛までしてきた頭に手を置くとしばらく考えてゾロの少し隣にそっと腰を下ろした。
それこそ不似合いな程の笑顔を向けながらゾロが嬉しそうにピッタリとサンジに腰を寄せてくる。
ひゃぁ〜〜と心の中で叫びながらも次のアクションを待っていると、ゾロが腹巻に手を突っ込んだ。
「あのよ。俺の宝物なんだ」
言いながら、ピカピカした小物が出てくる出てくる。
オメエの腹巻はドラえもんのポケットかよ!ツッコミを入れながら仕方なしにゾロの語るウンチクを聞いてやる。
珍しいコインだったり、小さな瓶に入った金色の砂だったり、サンジにはそれがどいう価値なのかはわからなかったが、ゾロは手に入れるまでの苦労話から、いかに素敵な品なのかそれこそ喋り続けている。
普段口下手なくらいの野郎が、よくもまぁここまで淀みなく話せると思うくらいだ。
あ・・・っと気がついてサンジが空島と呟くと、ゾロは良くぞ気がついてくれましたと笑顔でおとっときを出してくる。
「ナミの目を誤魔化すのは用意じゃなかったけどな」
これだけは掠め取っておかねえと金色好きの名が廃るからよ。
言いながら出したのは小さな細いピンのようなものだ。
美しい細工で先端に青い石が埋め込んである。
「この青も光に当てるとキラキラしてよ。まるでオメエの目ン玉みてえなんだ」
キレイだろう?と天井に向かってかざしながら嬉しそうだ。
無邪気な様子のこの男が一旦剣を握ったら誰からも引かずに向かってゆく野獣になるとはとても想像出来ない。
コイツこんな面して・・・可愛いじゃねえかよなどど恐ろしいことまでうっかり思ってしまうからサンジは慌ててゾロの酒瓶を煽った。
「・・・でな。欲しいんだ」
「あん?なんだって?」
「だからよ。俺ァちょこっとでいいからテメエの毛が欲しいんだ」
「はああああああああ?なんですって?今何ってた?このヘンタイマリモ!」
「ヘンタイじゃねえ。テメエの毛がキレイだからよ。いつでも眺めていてえんじゃねえかよ。ちょっとくらいくれたっていいだろう?減るもんじゃなし」
「減る。減るに決まってんだろうがよ。な・・・何言い出しやがる」
「ぎゃ〜ぎゃ〜耳元で喚くな。煩えなったく」
言いながらサンジの髪に指を差し込む。
「こんなにキレイなのに・・・。なんでテメエは俺のじゃねえんだろうな?」
はい?
「悔しいよな」
状況に完全に乗り遅れているサンジにゾロは口端を上げながらニヤリと笑った。
それがまるで舌なめずりをしているようで・・・・サンジの背筋にぞぞぞっと怖気が走る。
優しく手を差し込んだまま頭を引き寄せられて、両手で頬を挟まれた。
えっ?
と思う間もなくゾロの唇がそっとサンジの唇を啄ばむ。
2,3度軽く啄ばむと少し顔を離してサンジの顔を覗き込むようにしながらニッコリ笑うと掠れたような甘い声で囁いた。
「悔しいからテメエを俺のモンにしちまうことにした。」
そうしたらテメエのキラキラはいつだって俺のモンだからよ。
言いながらカップリしっかりサンジの唇に噛み付くような口付けを落とした。

いったい何がどうなってこうなってるのかサンジが現実に気がついた時には、恐ろしいことに鼻から甘い声が漏れている。無骨な指なのに、男の指なのに、これがゾロだと思った瞬間にサンジの下半身に熱が集まって快感と認識してしまったから自分でももうお手上げだ。
椅子に寝かされたまま体中弄繰り回されて、あんまり気持ちよくってうっかり何回もイカされてしまった。
ゾロがサンジを宝物のように扱うから、本当に嬉しそうにしてるからなんだか悔しくて気持ちよくて何がなんだかわからない。
意識の遠のく時に熱い迸りを体に感じながら「好きだ」と聞こえたような気がした。

こうしてマニアの根性でゾロはサンジをゲットすることに成功した。
もちろんゾロはサンジの金色が最高に好きだったが、それ以上にサンジの体も声も料理も、そして素直じゃなくてへそ曲がりなとろこもひっくるめて大好きだったので最高に幸せだ。
ただ気がかりなのはサンジは腹巻の中には入らないので、いつ無くしてしまうかわからない。
だから、いつだって全力で大事にしようと思っている。
サンジの方と言えば、あいかわらずキャンキャンと怒っていたが、おやつの時間かふとした瞬間にゾロがとんとんと隣を叩けば、そっと隣に座り込んで好きなだけゾロに髪を触らせるようになった。

これはマニアの執念は岩をも砕くというお話である。おそまつ。



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