ゾロは悩んでいた。
鍛錬マニアで筋肉フェチであるゾロは惚れ惚れするような自分の上腕二頭筋を眺めながら悩んでいた。
新しく仲間になった金色頭の骨格に筋肉が気になって仕方ないのだ。
料理の腕はこのさい二の次で、あの蹴りを繰り出す筋力の仕組みが知りたくてしかたない。
回転は脊柱からの軸も重要になるだろうし関節も柔らかく柔軟性に富んでるとゾロは見ている。
ゾロとて重量のある筋肉が優秀で力が出るとは思ってはいないが、細身の体から繰り出す重量を含んだスピードのある蹴りは反則だと思うのだ。
足が上がるのは体が柔らかいのだろう。
軽く上げて落とすだけなのに、切れ味の鋭さはどの部位の力がかかったものだろう?
手は戦闘時には使わない主義らしいが、開脚して回転させる動きの時、弾けるように後ろに飛んで飛躍する時に使うのを見ると、上腕三頭筋から三角筋までの筋肉も必用だし、腹直筋もしっかりしてなければならないはずだと思う。
しかしいくら穴の開くほどに見ても黒のスーツをしっかり着込みおまけにネクタイまで締めてるから、動いた時の筋肉の筋がどう動くのか見ることも出来ない。
黒いスーツは鋼鉄の鎧のように頑強にゾロの視線を拒むのだ。
ちくしょーめ!気になって仕方ねえ。
あの服をひん剥いて見てみてえ。
着痩せするにしても細すぎやしないかと思う。
もしかすると、表面に見える筋肉じゃなくて肩甲下筋のように隠れた筋肉が充実してるんだろうか?
ゾロは気になって仕方なく趣味である鍛錬にもイマイチ身が入らないから困ってしまう。
目印のように存在を主張している金色の頭もいけないと思う。
甲板で鍛錬に集中しようとしても光に反射した金色がキラキラと光るからつい存在に気が付いて、あいつの筋肉はどうついてるのか?とまた考えてしまうのだ。
サンジがおやつをナミに運ぶ時に上がる腕を見るだけでその中が気になる。
キッチンに立ち軽快なリズムで包丁を操る時に僅かに動いて見える僧帽筋から大円筋の動きに目を奪われてしまう。
ゾロを起こす時に風を切りながら落とされる蹴りに見とれて避けそびれることも度々だ。
そればっかりは見るわけにはいかない。でも見てえ。見れねえかなと思う。
ゾロは今まで何かをこんなにも気にしたことはなかったから、余計に気になる。普段は自分の筋肉にしか向かわない純粋な探究心が全て金色頭へ向かっていってしまう。
あの黒いスーツの下にはどんな筋肉がついているんだろう?
いっそ裸で動き回ってくれたらわかりやすいのにとまで思いつめながら、サンジの脊柱起立筋から大臀筋までを舐めるように見つめてしまう。
金色頭であるサンジがゾロの視線に困惑しイラ付いていることや、そんなゾロとサンジの様子に退屈したクルーが面白そうに眺めてるなんてことは当のゾロだけ気が付いていなかった。全ては自分の好奇心のみで動いているゾロなのだ。
本人はいやらしいつもりはなくても一般的に見たらゾロがサンジの背中のあたりから尻を舐めるように見ていることになるのには気が付いていない筋肉野郎のゾロだった。
ある日たまたま上陸した島でゾロは船番になった。
寝過ごして起きたら誰も居なかっただけなのだが、キッチンを開けてサンジの金色頭が見えなくて少し物足りなく思う。
テーブルの上には丁寧にゾロの弁当が置いてあるから、もぐもぐとそれを口に含むと、また甲板で鍛錬だ。
胸鎖乳突筋を鍛えるために錘をつけた縄を口に銜え首を上下にさせる。
頭板状筋や頸板状筋がギリギリとしながら着実に力を蓄えていくのがわかる。
要は首周りから胸の付け根を鍛えるわけなのだが、ゾロは重い刀を口に銜えたまま自在に首を操るので重要な筋肉のひとつだ。
剣を受けた時に力を逃すようにもしなければならないから柔軟で柔らかい筋肉が望ましい。
鍛えすぎても固くなってしまうのでよくないのだ。
首だけだと体の方がすることがないので、下半身を船の縁にひっかけ上半身だけ海の上に出した状態で、水平を保ちつつ首だけを動かす。
こうすれば自然と広背筋から僧帽筋まで鍛ええることになるので丁度いい。
傍から見たら充分に厳しい鍛錬のようだが、フェチのゾロからしてみたらまだまだ手ぬるい。
つまり体だけ動いていて頭は暇なのだ。
普段はそう使うこともなく休みっぱなしの脳内だったが、筋肉についての追求に限ってはフル回転する。
そしてその追求はいまのとろこ全てサンジに向かっていた。
だいたいちっせい頭だと思う。
首なんかゾロが片手で折ることが出来そうだ。
身長はそう変らないが、細っこくってひょろっちぃとも思う。
あんなんで、あれだけの蹴りっていうのはやはり資質もあるのだろうか?
俺がちょっと鍛錬の効果的な方法を教えてやったらヤツはもっと強くなんじゃねえかとか考えると、蹴る為に必用な筋肉の部位やそれを鍛える為のメニューが10も20も思いついてゾロは1人でニヤニヤと笑う。
「テメエ、ニヤ付きながら鍛えてんじゃねぇ」
いきなり背後から良く知った声がする。
口に紐を銜えているから返事のしようもなくて黙って首を上下にしているとギャンギャンと煩い声が響いてくる。
「大雨降ってきてるのにテメエまだ鍛錬か?テメエバカだろう?ゼッテーバカだろう?ったくマリモにカビまで生えてくるから、とっとと止めて中に入れ!ったく」
大声で怒鳴るだけ怒鳴るとサンジの気配が消える。
せっかく戻ってきたのに、あの体を見られないのはつまらないとゾロは珍しく鍛錬を中断して雨の中キッチンに戻った。
が、そこには目当ての人物が居ない。
仕方ないので濡れた体をなんとかしようとバスルームに向かうと、シャワーの音がしている。
入り口には見慣れた黒のジャケットだけが置いてある。
黒いジャケットを手に取りながらゴクリと生唾を飲み込んだ。
あの金色はシャワーを浴びてるんだとゾロは考える。
シャワーは当然マッパなわけだよな。
と思考が行き着くのに時間はかからなかった。
この中にあのゾロが見たくて見たくて仕方なかったサンジが居る。
裸で居るわけだ。
考えただけで顔がかっかと火照ってくる。
黒いジャケットの匂いをくんくんと嗅ぎながらゾロはドアノブに手をかけた。
期待に胸膨らませてゾロがバスルームに入ったのに・・・。
サンジはサンジで下半身をがっちりタオルでホールドしている。
目を丸くしてゾロを見た後、お前も入るのか?とゾロの脇をすり抜けて行こうとするから、ゾロは頭に血が昇ってしまう。
「テメエ隠してんじゃねえ。全部見せろ」
言うのとサンジのタオルを引き剥がすのが同時という仕事の早さだ。
「て・・・ってめ、何しくさって・・・」
困惑したサンジがタオルを剥かれた拍子に床に腰をついてゾロを見上げる。
右手に黒ジャケット、左手にバスタオルを掴んだゾロは鼻息も荒く顔を赤くして仁王立ちだ。
サンジがあっけに取られている間にジャケットとタオルを投げ出すと、座り込んだサンジの足をむんずと掴んで持ち上げ目線上に置く。
夢にまで見たサンジの生足。生筋肉。
大腿四頭筋から小さな大内転筋を見つけて嬉しくなる。うっとりと撫で上げるとサンジから引きつった声が聞こえる。
「テ、テメエ・・・何しくさってるんだよ」
「確かめてる」
「確かめるって何をだよ」
「もっと細いと思ったが意外に無駄なく良質な筋肉がついてる」
「はぁ?」
「大内転筋なんかはなかなかわからねえもんなんだ」
言いながらうっとりと撫でるから、実際には腰の付け根から内側の実にアレな場所近くをゾロの無骨な手が撫でるものだからサンジはパニックだ。
「テメエの言ってることわかんねえんだよ。離せ!いいから触るな気色悪ぃ。テメエホモか?やっぱりホモなのか?俺のことずっと見てたのって狙っていたのか?マリモ、今ならなかったことにしてやるから、いいから手を離せ!」
喚くサンジを煩せいと睨むと、ごちゃごちゃ暴れる上半身を床に押し付けたまま腹に足を乗せ動きを封じる。
そうしてゆっくりとまた足を撫でるのだ。
サンジからしてみたら立派なホモな行為である。
ゾロはブツブツと何かを呟きながらそりゃ真剣に目をランランとさせながら脛毛だらけの野郎の足を擦っている。
シュールすぎるビジョンに頭がついてゆけなくても当然だろう。
しかもサンジは裸に剥かれたままなのだ。
ゾロが筋肉の部位をひとつひとつ確認しながら、それこそ外側も内側も丹念に弄繰り回し足の甲まで手が伸びた頃にはサンジの息は上がりちょっと涙目になっている。
強烈な武器になる足が今は無防備に自分の前にあることに満足しながらゾロは節のしっかりとした甲に手を這わす。
強く撓やかな筋肉が無駄なくついている。2,3度確かめるように撫でた後、足根骨から中足骨までの骨の感触を楽しむように触る。
頬に擦り付けるように顔を近づけて足を掴んでいるゾロの下からサンジの呻くような苦情が大きくなり、ふと振り返る。
目があったサンジの目尻が気のせいか赤い。
肌も心なしか色付き汗ばんでいる気がする。
ゾロは踏みしめていた足元に視線を移すと、そういえば脊柱起立筋から大臀筋の辺りの筋肉も見たかったんだと思い出した。
ゾロが腰を屈め足をどけた瞬間サンジはブリッジ状に体をしならせ回転し、取られた足を反動で巻きつけ上体を起こし蹴り落としゾロを瞬殺する予定だった。
時間にしてほんの数秒。
なのにゾロは煩い蝿を追い払うような緩慢な動作でサンジの動きを受け流すと、こともあろうに、しっかりと首に手を回し頚動脈を掴んでいる。
「テ・・・テメ・・・本当にいいかげんに・・・ぐっ」
「動くな。動くとこも見てえが今はじっくり弄りてえ。動かないって言うなら手離してやる」
目尻に涙を溜めながらサンジが頷くとゾロはゆっくりと手を離す。
急に入り込んだ酸素に咳き込むサンジを眺めているとサンジが悔しそうに涙を零す。
「なんで泣くんだ?」
「普通泣くだろう?」
「なんでだ?」
「俺は、野郎に体弄くり回される趣味はねえんだよ。やっぱテメエホモだろう?居るんだよ。俺みたく金髪碧眼の美人が好きなヤツっていうのはよ。ちくしょー。仲間がホモだったなんて情けねえ」
「俺はホモじゃねえ。ただテメエの体を弄りたいだけだ」
「それがホモだろうがよ」
「テメエの蹴りは凄え」
「あん?」
「俺はあんな凄え蹴りは初めてみた。」
自分を組み敷きながら突然褒めるゾロの真意がわからなくてサンジは一瞬呆けてしまう。
「あれだけの蹴り技を出すには、相当の鍛錬が必要だ。でもテメエは鍛えてるような体に見えねえ」
「・・・・」
「ほそっこいし、ひょろってるし、頭だってこんなちんまくって」
言いながらゾロの手がサンジの頭を軽く掴む。
掴みながら金糸に指を絡め優しくすいている。
「金色頭だしよ」
いや・・・金色頭と蹴りは関係ねえしとサンジはとっさに心の中でツッコムが口は開かない。
「首だって細えし、どんな体してやがるのか気になって仕方ねえ」
言いながらサンジの体の輪郭をなぞるように撫でる。
「剥いてみてえなと思ってたんだ。細いわりにはしっかりと筋肉はついてる。でも納得いかねえ」
この程度であの蹴りが出せるなんて・・・しかも色なんか真っ白じゃねえか。
肌なんかすべすべで手に吸いつくようだしよ。
ゾロがいちいち説明しながら手を這わすたびにサンジの鼻から息が漏れてしまうから、サンジは勘弁して欲しくなる。
「クソマリモ!テメエは俺の筋肉が見たかったのか?」
おそる、おそるサンジが声に出すと、ゾロはそうだと頷きながら、それは嬉しそうに満面の笑みを返してよこした。
こいつはバカだ。
真性のバカだ。
バカでクソでマリモなんだ。
人間らしい思考で考えてたら駄目なんだ。
サンジはそう思うと一気に気力が萎えるのがわかった。
もうどうにでもなりやがれの心境だ。
「クソマリモ・・・テメエは俺の体弄くって楽しいのか?」
「おう」
元気に返答が返ると、サンジの体はひょいとひっくりかえされる。
甲冑骨のあたりにある広背筋を撫で回し、ちくしょーと喚いている。
手はしっかり背筋を伝わり確認されるように臀部まで下り。
サンジの息はすでに絶え絶えだ。
どんなに堪えようとしても、これだけ弄くりまわされたら鼻から甘い息の2つや3つ漏れてしまう。
ゾロの手が尻を掴み左右に押し開く。
「ひゃ」
「なんだってテメエはこんなところもピンクなんだ」
知るかよ!とツッコミたくっても声を出す余裕もない。
ゾロに弄られてしっかり持ち上がったちんこのことを考えると、このままゾロに気がつかれないように祈るばっかりだ。
心なしかゾロの鼻息も荒くなり・・・・。
またひっくり返されると、今度はゾロの唇が肌に吸いついてきた。
「あっん・・・ちょっ・・・オマエ触るだ・・っあん・・・だけって・・・っや」
「ちくしょーテメエなんだってそうエロいんだ。こんなエロい体でなんだってあんな蹴り出るんだよ」
ピンクじゃねえか。テメエの大胸筋なんかピンクだし、オマケに乳首はもっとピンクだしと繰り返し言ながらサンジの乳首を噛み噛みするものだから堪らない。
「ひゃっ・・・あん・・・あぅん・・・」
噛み噛みしながらも、腹直筋から腹斜筋の辺りを撫で回す。
ゾロの腹に当たるサンジのちんぽなどピンクの極めつけだ。
あまりに自分のものとの違いにゾロの下半身はいきなり準備万端フルスロットルだ。
左手で体を撫で回し、鍛えた口では乳首を転がし、右手はサンジのちんぽを握り締め。
これが本当の三刀流だった。
いやゾロの棒を入れたら四刀流であるから、もうサンジの脳みそは気持ちよくってぐずぐずになってしまう。
はっはっはと鼻息も荒くむしゃぶるようにサンジを嘗め回し文字通りゾロは弄くりまくった。
特にちんぽのあたりとその付け根や尻穴なんかはサンジがひんひん泣いてあんあん言って、最後にはえらくエロい顔でゾロと呼ぶまで弄り倒した。
勢いにのっかって自分のちんぽもサンジの穴に突っ込んでみたが、サンジはさすがだった。
ケツ穴の筋力も抜群でゾロをぎゅうぎゅうと締め上がげるから、もってかれそうになって油断できない。
もっとゆっくりサンジの穴も調べたかったのにサンジの顔を見た瞬間。
脳内に火花が散った。
汗で額に張り付いた金髪にビー玉のような綺麗な青が涙で滲み。
開きっぱなしの口の中から赤い舌がちろちろ見えていた。
たまらなくエロい顔だ。
そういえば口は弄ってなかったとどくどくとサンジの中に吐き出しながら思い出し、髪を掴んで唇に噛みつくようにキスをした。
心地よく湯が肩に何度もかかりうっとりと瞼を開けそうになり、背中に特に尻にありえない感触を感じてサンジの思考が一気に戻る。
ピクリと動き緊張した筋肉の動きでゾロもサンジの意識が戻ったことを知った。
「気は済んだのかよ」
「・・・・」
「おい!返事くらいしやがれ」
擦れきった声で凄んでもイマイチ迫力にかけるから情けないとサンジは思うのだがゾロは返事をせずに湯をかけるだけだ。
「テメ・・」
さすがに怒りで身を捩り怒鳴りつけようとするとゾロの額がサンジの肩に押し当てられる。
「テメエは凄え」
「あん?」
「恐ろしいくらいだ。俺はこんなの初めてだ」
「はあ?」
「筋肉の動きは大体わかった。でもあの程度であの蹴りはやっぱり納得いかねえし、なによりテメエはエロすぎだ」
「はああ?」
「触っても舐めてもしゃぶっても足りねえし」
「ゾロ?」
「完敗だ。すげえ悔しい」
「ゾロ?」
「俺は興味のあることはとことん追及する主義だ。納得いかねえと気持ち悪くて仕方ねえし・・・・それに・・・」
「ゾロ?」
「負けっぱなしっていうのも納得出来ねえ」
「ゾロ?」
「次は絶対に負けねえから覚悟しやがれ!」
「はいいいい?」
サンジの質問には一向に答えずに一人で納得して一人で完結したゾロは鍛錬の次にサンジを研究することに決めたようだ。
俺は負けないからなと何度も自分に言い聞かせるように繰り返しながら、サンジの顎を掴むと顔を引寄せ、不適に笑うとキスをした。
第二ラウンドの鐘が鳴ったのがサンジの耳にも確かに聞こえたような気がした。