「海の家」
料理人なら誰も夢見る奇跡の海。
4つの海の全ての魚が混在し泳いでいる。
自分の目で見ても最初は信じることが出来なかった。
真夏に雪が降るようなそんな冗談なような海。
奇跡の海のある海域の中の小さな島。
そこに俺は海の家を建てた。
ちっちゃい、ちっちゃい店だけど、ラーメンからコース料理まで食える俺の店。
ちっちゃい島で平和な島で、のんびりした島だから、
賑わう時期は決まっているけど、
仕込みも済んで、遠くを眺めながら休憩するこの時間が好きだ。
遠くに見えるのは店には必要ない用心棒。
しかめっつらしながらやってくるから、わざとらしくアイスを舐めてやる。
おかしいくらいに眉間に皺寄せて、近づく用心棒。
キスしたら甘くてまたしかめっつらするんかな?
それとも笑うんかな?
どっちの面も好きだけど、笑うといいなと思いながら俺はまた大きく口を開けた。